ヘビ 1981年 東京都 昔、里にたくさん蛇がいて困っていた。そこで1人の若者が遠くの神様のもとに行き、一心不乱に拝んだ。帰りに1人のお坊さんがついてきた。宿を請うので泊めると、翌朝布団の中には1枚のお札が残っていただけだった。若者がこの御札を懐中にして田に行くと蛇に襲われたが、蛇はお札があるので呑み込めなかった。そして大勢の村人によって蛇は退治された。
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ミツミネグウ 1956年 宮城県 昔、武芸の心得があった幸蔵という者の家に一匹の狼が台所から入ってくる。女房がやせ犬と思い気にもとめず、3人の子を置いて外出する。幸蔵が畑から戻ると、いきなり飛びついたので拳で何度もなぐったが屈しない。そこで両耳をつかんで叩きふせ、小川に頭を突っ込んで殺して流したが、元のところへ戻る。女房が不思議に思って占いを立てたら、「幸蔵が武芸を鼻にかけているので、懲らしてやろうと百里先から来たが負けた。霊験を与えるから葬ってくれ」とあったので祠を建てた。祠の前で、くらん返り(でんぐり返し)をすればオコリが落ちるという。
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ダイジャ,オノ,オマモリ,オフダ 1936年 鳥取県 昔或山村に非常に信仰の厚い木挽がいた。ある日山に木樵に行き、昼寝をしていると大蛇がおそってきた。するとそばに置いてあった斧がはね出し、大蛇は逃げ出した。その木挽はその日センビキに日頃信仰する神様の御守りと御札をつめていたのであった。
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ゼンワンブチ 1986年 埼玉県 箕輪山霊巌寺近くの高麗川の淵には大蛇が住むと言い伝えられている。この辺りの住民は祝儀不祝儀があると、膳椀をこの淵に貸りに来ていた。淵に向かって「どうか十人前の膳椀をお貸し下され」と頼むといつの間にか浮かび上がってくる。終われば丁寧に礼を述べて返すのだが、ある時村の者が膳椀を返さなかったら、その後誰が行っても浮いてこなくなった。ある年大洪水があって淵が埋まってしまった。そしてそこから一匹の大蛇の頭骨が発見された。村人は膳椀淵の主として手厚く弔い、霊巌寺の宝物とした。
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バケモノ,ヒカリモノ,カイブツ 1975年 埼玉県 武州埼玉郡船越村で享保元年6月頃、ある百姓の家で毎夜光るものが窓から入ろうとすると家の中からも光るものが飛んできて争うという事が起った。家の中にあった札をある時捨てると窓からは大きな猿のようなものが入ってきて娘をさらった。捨てた札は牛王守札でそれにより娘は守られていたのだ。
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スイコ 1974年 大分県 豊前の国中津の府で、ある人が水虎に石を投げつけたところ、水虎に当たった。以来その人は水虎に取り憑かれ気が狂ったので首輪をつけて牛小屋に閉じこめた。あるとき近くの寺で大般若があったので札を受けて戴かせたら正気に戻った。
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イウナリジゾウ,(ユメノオツゲ),(タタリ) 1990年 長野県 言成地蔵という地蔵堂の前は、馬で通る人も必ず降りて通る習わしになっていた。ある時、侍が馬で通りかかったので馬子が下馬するように言ったが、侍はそのまま通り過ぎようとし、地蔵の前で落馬した。怒った侍は地蔵を袈裟懸けに切った。切られた地蔵は新福寺の和尚の夢枕に立って傷口を布で巻いてくれと頼んだ。今でも地蔵は袈裟でしっかりと巻かれているが、これを見たものは目が潰れるという。斬りつけた侍は、病死した。
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ベンテンサマ,ヘビ 1970年 滋賀県 お婆さんがツツジの木の下で一服していたら蛇が出てきた。御婆さんは驚いて寝込んでしまい、その家の茗荷の生えている場所にも蛇が出るようになった。そこで坊さんにジシブンというお経を上げてもらい、蛇の出る場所に弁天様を祀ったら、蛇は出なくなった。
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ケサキリジゾウ 1956年 宮城県 昔,竜雲寺山門前に石の地蔵が立っていたが,この地蔵は真夜中になると大入道になって通行人を脅かすので,人通りが稀になってしまった。ある夜梁川庄八という浪人侍が通りかかるとやはり大入道が現れたので,庄八が切りつけるとカチンと音がして化物は消え失せてしまった。翌日行ってみると,右肩を切られた地蔵が立っていた。以後柳川庄八袈裟切りの地蔵と呼ぶようになり,今でも祀られている。大入道は狸が化けたのだろうという。
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オオウワバミ 1976年 茨城県 常陸国霞ヶ浦のある農夫の女房が、昼弁当をしたため、耕作の合間に一休みしようと、畑脇の大松に寄りかかり寝ていると、この松に棲んでいた大蝮蛇が女を呑もうとした。周りの人が見つけて、蝮蛇が呑みかかろうとするときに、女の頭から火炎が燃え立った。女が目を覚ましたので、集まっていた人たちが女を引き連れ退かせた。女に、何かありがたい物を身に付けているのかと尋ねたら、特にはないが、髪が乱れていたので、反故紙のようなもので元結の代わりにしているといった。その紙を開いて見たところ、それは剣先御祓いの紙で、中に大神宮と書かれていた。
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コヘビ 1976年 京都府 某家で伯母が同居してかいがいしく働き、家が栄えていた。しかし妻を迎えたところ、妻が伯母に従順しなかったので、伯母を別居させ、食事を持っていくように主が命じたが、妻は主に偽って、持って行く事は無かった。そのうち伯母は病気になったのだが、その頃から妻も心地が悪いと屏風の内にこもるようになった。2,3日もこのようなことが続くので怪しんで屏風の内に入って見たところ、妻の首に小蛇が巻きついていた。修験に祈ってもらったら、小蛇を退治すると妻は死ぬといわれたが、苦しみを見かねて祈祷を頼んだところ、小蛇は首を離れ妻の口に入り、妻は死んだ。その頃伯母も死んだという。
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ヘビノアナ 1941年 福井県 蛇の住む穴に刀を落とした武士が、穴に入っていくと宮殿があった。大将に取り押さえられた武士が観世音を頼むと、大将たちがひれ伏して刀を返した。何とか外に出ることのできた武士は、神社に刀を納めて剣の神とした。
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タヌキ 1981年 滋賀県 昔法蔵禅寺に六部がやってきた。六部は住職に泊めてくれと頼んだ。住職はやめた方がよいといったが、六部はどんな辛抱でもするといって泊った。その晩六部が寝ていると、丑の刻にわけのわからない化物が天井一杯くらいある目玉をむいて六部を睨みつけた。六部が「狸だろう、こっちへ来て勝負しろ」というと狸も諦めて出てきて、どんな勝負をするのかと聞いてきた。六部は「オノレワ、テンクラテンジャを交代で言い合いをする」といい、言い合いをしたが、じきに狸が言えなくなってしまい、裏山に逃げてしまった。
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ダイジャ 1975年 山形県 肘折温泉の近くの岩穴にすむ大蛇を小山八蔵という士が退治した。この後小山家の一族が肘折温泉に行くと必ず怪我をしたり病気になったりする。明治の中ごろこの血筋の者が温泉に泊まり、普段呑まない酒を呑み二階から落ちて大怪我した。大蛇の祟りといわれる。
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〔ハンソウボウ〕 1958年 岐阜県 明治19年5月のこと。ある家の夫婦が破れ衣を着てうどの木の杖をついた鼻の高い姿の御札を旅僧から買った。その夜、夫婦の夢に御札のお姿の人が出て、「山奥に大きな岩屋がある」と告げた。みんなで行ってみたところ、お姿のとおりの人が林の中にいて、坊さんについて行くと不思議な岩屋についた。坊さんの顔が半分なかったともいい、それで半僧坊として祀った。
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ヘビノタタリ 1956年 宮城県 昔おがら町(東八番丁)に早瀬という侍が住んでいた。ある時同家の厠に大きい蛇が這いこんできたので家人や若党たちが手に手に獲物を持って散々に打ち苛んだ。半殺しにされた蛇は柱を二巻きほどして上に昇ろうとしたが力尽きて死んでしまった。それから早瀬家には妻の死児難産,主人の乱心と投身自殺,家人の病気などの凶事が次々起こったので巫女に拝んでもらったところ,殺された蛇の霊が出て「いくら加持祈祷されても早瀬の家には七代祟ってやる」というのであった。明治時代,私(田夏氏か)の母の実家の隣家にこの早瀬家の子孫の老婆が寄寓していてその愚痴話を聞いたということである。
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エンコウ 1938年 島根県 淵に猿猴が住んでいた。ある夜住職の夢に猿猴が現れ、淵に鍬があるので取り除いて欲しい」と頼んだ。住職が鍬をどけると、その晩から竹の串にたくさんの川魚が刺してあるようになった。竹の串を金の串に替えたら、猿猴は川魚を贈らなくなり、慈悲深い和尚に薬石を贈った。ある年、関白が病気になった。そこでこの薬石を服用したら、平癒した。
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(ユメノオツゲ) 1989年 長野県 お寺淵の底は竜宮まで続いている。そこには大蛇が住んでいた。お寺の大般若が近づいたとき、住職が皿が十枚足らずに困っていると、淵の岩の上に皿十枚と書いた紙を置いておくと大蛇が借りてくれるという夢を見た。その通りにして助かったという。
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ヘビ 1936年 鳥取県 子供の時に薬師寺の裏山で古い壷を見つけた。中には一匹の蛇がいて、底には漆のようなものがたまっていた。それらを持って帰り、壷は和尚さんに上げて、蛇は隣の爺さんにあげた。それから爺さんの家は目に見えて暮らしが良くなった。噂では蛇のお告げがあり、その蛇を弁天さんにお上げしたという。
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ヒキガエル,ヘビ 1963年 岡山県 昔々金山寺の大きな蝦蟇と大蛇が住んでいた。この両者が争ったが、それを報恩大師が法力で鎮め、綱引きの形を蛇にして祭る事となった。また江戸末、明治初年頃に金山寺に吝嗇な坊主がいたが、綱引きのとき皆にかゆを食べさせなかったので皆が怒り綱引きで引いた綱をはずして寺の本堂を引き回した。あくる日坊主が本堂へ行くと大蛇がのた打ち回っていた。坊主は村の有力者に救いを求めたが、皆が行くと縄があるだけであった。
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