キツネ 1981年 和歌山県 戦後の食糧難の頃の話。裕福な家に餅米と小豆を買いに行った女の人の目にその家の稲荷の祠が御殿のように見えた。帰ってから一升ほどの餅米を1人で食べてしまい、赤ん坊と女の人がゲラゲラ笑い出したあとで肛門が痛いと言い出し、最後には拝み始めて「われこそは稲荷大明神」と唱え始めた。夫は妙見様の洗米を頂いてきて食べさせたり、天井や床に見えるという赤や黒や銀色の狐を女の言うままに木刀で叩きまわった。7日ほどして正気に戻った。稲荷が粗末にされていたので、たまたま来た女に憑いたという。狐は人に憑くとき入る場所を探してくすぐるので、探られた者は笑うのだという。
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イナリサマ 1986年 埼玉県 長久保の下組では、不幸や病人が絶えず、祟りではないかと心配していると、組員の一人の夢枕に身体の不自由な稲荷様が現われ、祀ることを命じた。稲荷様を祀ってからは災厄がなくなった。
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オイナリサマ 1968年 佐賀県 稲荷様は家に具合の悪いことがおきたとき、法印に勧められて祀り始めることが多い。ある家の稲荷様は、1935年前後、祖父の弟の家が潰れたとき、その家で稲荷様を祀っていたことを誰も知らなかった。ところがその家の女の人が、初午の頃に毎晩稲荷様の夢を見て、そのお告げによってその家に稲荷があったことを知り、祀るようになった。
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キツネ 1981年 和歌山県 戦中戦後の食糧難の頃、祀っている稲荷様を粗末にしたら、その家を訪れた女の人にキツネがついた。妙見様の洗米を頂戴したら、7日ほどで元に戻った。
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ミサキガミ 1992年 宮崎県 ある人の妻が大病を患ったので、文化年間に活躍した修験の金剛院が加持したところ、原因は病家が御崎神の通路をふさいでいたことだとわかった。転宅させたら、病は癒えた。
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レイセン 1930年 岩手県 眼疾に苦しんでいた老婆が泉水で目を洗ったところ平癒した。この噂が広まり霊泉として人々の尊敬を集め、一年と経たないうちに小社が建立された。
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アミダブツ,オニ 2002年 大分県 豊後の国高田の水川というところの男が、中風になり、足も萎えてきて大小便も居ながらにするようになり、誰も寄り付かなくなった。3年になった時、夢に鬼が2人出てきて連れて行こうとするので、阿弥陀仏を一心に念じると阿弥陀仏が光を放ってやって来た。さらに念じると、男の胸に光をさしかけなさった。鬼たちは「この男は高家の者だ」といって失せた。その後この男は立てるようになった。
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オイナリサマ 1968年 佐賀県 占いの上手な人がいて、お稲荷様を信仰していた。漁の神、商売の神といわれ、漁師の信仰が厚い。1960年頃までは2月初午に5,60人の人がお参りしていた。祈祷師にお稲荷様が乗り移り、3度震えて鼻声になり、お告げをする。指示通りにして大学受験や公務員試験に受かった人も多いという。お稲荷様は祈祷師以外に、17,8歳以上の乗り移り易い人にも憑く。憑かれた人は鼻声になり知らない祝詞を唱えたり、文盲の人が書けないはずの字を書いたりするという。
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キツネツキ,イナリサマ 1922年 茨城県 以前は祈祷者が病人と問答をし、祈祷者と病人の狐の間に契約が交わされ、1週間の祈祷の後に赤飯、油揚げなどをもたせて村境まで送り出すということが流行した。今でも稲荷様や法華宗の祈祷者が神や仏となり、よく病人の身上を言い当てるので流行することがある。
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ヤマノカミ,ユメ 1941年 朝鮮 大同郡秋乙美面美林里の病人の夢に、白い着物を着た山神が現れて、一里先の小高い山で最初に目に付いためずらしいものを、食べるものなら食い、飲めるものなら飲めと言った。そこで行ってみると清水があり飲んだ。数日続けると次第に快復した。世間にも官にも知らせ、大kの人がその薬水を汲んでいくようになった。
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キシダケ 1968年 佐賀県 病気をした人が神主に頼んで稲荷を拝んでもらったところ、岸嶽を祀るようにとお告げがあり、祀ったら治ったという。
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ヤクジン 1976年 東京都 天保8年2月下旬、次女の乳母が日暮れに急に寒気立ち、夜着を被って打ち伏せていたところ、翌朝になり、昨夜より風呂敷包みを背負った男が側にいると言った。これは疫神かと、種々の札を枕元に掛けたところ、男は立ち去ったといって全快した。ところが上野の祭礼に主人とせがれとで行ったところ、急に歯が痛くなり、家に帰ると治った。すると乳母が再び寒気を訴えた。そこで刀を抜き乳母を峰打ちにしたところ、男がすぐに立ち去るので、障子を開けて欲しいと言った。障子をあけると乳母はそこで倒れたが、そのまま起き上がり正気となった。早く塩をまいて箒で掃き清めよ、と言った。
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チョウジャノミズ 1929年 岩手県 ある百姓が、大岩の下の清水で顔を洗うと、長い間の眼病が治った。その清水は霊験あらたかとして、多くの参詣人が集まるようになった。
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イナリ 1969年 三重県 稲荷信仰に熱中した人が、気が狂って、祈祷で治った。
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キツネ 1976年 東京都 文政5年、コロリが流行した折、狐が人に憑いて人命を損ずることが少なからずあった。本所松井町のある女房が8月23日に突然発狂したようになったので、これは狐が憑いたのではないかと、色々ありがたいお札を集めたり、祈祷など行ったが効果がなかった。そこで伊勢神宮のお祓いなら恐れないものがないだろうと持ち出したら、女房は震えだし、お祓いを納めてくれるように懇願した。早々に立ち退くように命じたところ、手を窓の外へ出してくれるように願った。狐は手の指爪の間に潜んでいるという。そこで手を引いて窓の外へ出したら、その場で女房は倒れて、気がついたときには何も覚えていなかった。
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ニチレン,ブツゾウ 1973年 栃木県 文政8年4月のころ、野州佐久山の中町に住む住吉や為八という者が、地面に池を作るといって、まわりの石垣となる石を近くの箒川から取り寄せた。するとその中の丸い石に、自然と二分ほど高く、左右に日輪月輪を伴った仏像が現れたという。日蓮宗の住職に見せると、それは日蓮上人であると言う。瘤のできたのを立願すると治った。それから近国の参詣者でにぎやかになった。
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ヤクジン 1976年 東京都 嘉永元年の夏より秋にかけ、疫病が大流行した。その頃、浅草辺りの老女が物貰いのような女と道連れになったところ、女が3,4日飯を食べていないので、一飯を振る舞って欲しいと言った。そばをご馳走したところ、女は礼を申し、我は疫神であるが、もし疫病を患ったらすぐにどじょうを食べろ、すると本復すると言って去った。
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ウツワノタタリ,コヅカ 1982年 鎌倉真言宗の僧・円空は怪しき加持祈祷を行って、柏木成子町の町人が目の上に痰病ができて両目が腫れたのを治した。これは家の中にある器の祟りで、これを掘り出して清浄な地に埋め変えると病気が治ると円空が言ったことによる。実際家の下から小柄が発掘されたので、円空が持ち帰って鍛冶を行うと両目は少しずつ見えてきたという。
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クダギツネ 2002年 長野県 嘉永元年(1848)の秋頃より本郷村で変病人が続出した。祈祷師によると、病人は同村A家からきたくだ狐だと口走ったという。このA家では親子が昨年末に病気に罹り、日蓮宗僧の祈祷によって回復し、それ以来A家は日蓮宗を熱心に信仰するようになっていた。本郷村では悪狐退散の祈祷を一同で行ったが治まらず、A家を非難した。同村はA家が日蓮宗の信仰を止めないのが原因だと断じ、A家を説得したが埒が明かず、村中の負担にて京都吉田家にくだ封じの祈祷を依頼した。
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(セイガンジノニョライ),ゴゾウロップ 1980年 京都府 元禄の頃に、誓願寺の和尚が夢に本尊の如来が出てきて、病気であることを告げる。周りの人間も同じ夢を見たので、仏像を確かめると体内に木製の五臓六腑が納められていて、それを釣っていた釘が折れていた。人々はそれを奇異の事として、人口に膾炙したという。
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