キツネ 1933年 長野県 ある侍がまだ夜のうちに猟に出かけた。すると美しい女が現れた。狐の仕業だと思い鉄砲で撃つと、女は銃弾を手のひらの上で転がした。侍は夢中で逃げて家に帰った。
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オンナ 1976年 京都府 猟師が、出会った美女について行ったら、彼女の目が五つになった。その後殺生を止めたが、自分は足腰が立たなくなり、子供も早世や白癩であった。鳥屋は障害者や悪い死に方をする者が多いが、当然だろう。
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ヤマジョロウ 1922年 徳島県 漆日浦の猟師が片川谷の奥地で髪が長く雪よりも白い肌の容姿端麗な美人に逢った。妖怪だと思った男が鏡を見てねらいをつけ、鉄砲を撃つと命中した。この女は山女郎であろうと噂された。
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オンナ 1913年 岩手県 ある猟師が、女を鉄砲で撃ち殺そうとしたら、手足がしびれて声が出なくなり、そのまま女はにたにた笑いながら行き過ぎてしまった。この猟師はあとで病気になった。この女を見た者は、病気になるか、死んでしまう。
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ヘビ 1952年 岡山県 夫婦の蛇がいるところをある人が通りかかると暗くなり、前方に美しい一人の女が立っていた。大蛇のお化けと思って鉄砲で撃つと、明るくなり、子供の足跡がついていた。そこに蛇神様を祀ることにした。
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ダイジャ 1965年 高知県 鉄砲の達人の「せっしゅのおかね」が、夫が山に行って帰らないので、お守りと鉄砲をもって探しに行った。鹿の皮の中の笛を吹いて獲物を呼ぶと、ブスブスと音が近づいてきた。この正体は大蛇に違いないと待ち構えると、火の玉が二つ近づいてくる。鉄砲を撃って木に登ると、火の玉は大蛇の両眼で、おかねは生臭い匂いをかいで眠たくなった。お守りの力で目覚めると、大蛇は隣の木に登っておかねを飲み込もうとしているところだった。鉄砲で撃ち殺して腹を割ると、夫がいた。
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ヨウフ,セッキノカイ,ヨウニン 1976年 静岡県 豆州の山中で、昼、石工たちが休憩していると美しい女が現れ按摩してくれた。按摩された人はみな熟睡した。これを怪しんだ人がこれを猟師に話した。猟師が鉄砲を撃ったところ、石が砕け散った。女は石の精だったのだろう。
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オンナ,ヤマガミ 2000年 福島県 猟師が山中で、女と出会った。山の神が、殺生を止めさせるために現れたのだと考え、猟師はそれから猟をやめた。
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ダイジャ 1935年 愛知県 狩人が崖の下で鹿を待っていると、鹿が転げ落ちてきた。上から一匹の大蛇が覗き込んでいたためで、狩人は鉄砲を射掛けると、蛇は落ちてきた。恐ろしくなって家に帰ると、臨月の妻が産紐を解いたのと、大蛇を撃ったのとは同じ時刻だった。狩人は恐くなって職を変えた。
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ウシオニ,ヌレオンナ 1933年 島根県 昔、ある神職が夜釣りに行ったら濡女が現れて赤子を渡すと消えてしまった。神職は赤子を捨てようとしたが、石のようになって手から離れない。やがて牛鬼が追いかけてきて、神職が逃げていると光るものが飛んできて牛鬼の頭に刺さりそれで追わなくなった。光るものは家から飛んできた刀だった。
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オニ 1988年 奈良県 六兵衛という漁師が網の材料を取りに来て、大台ケ原の大蛇嵓で夜、焚火をしていると、40歳くらいの女が来て、六兵衛の飯を食い酒を飲み始めた。そこに女が来て睨み合いになり、天地鳴動して六兵衛は気絶した。気がつくと後からきた女と巨身白髪髭の老人がいた。先の女は鬼で、大台ケ原の神である女が助けに来たが、力が足りずに弥山大神である老人の力を借りたのだった。
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ニイヤミョウジン,ダイジャ 1935年 群馬県 昔、利根郡にある山麓の長者に、三人の美形の娘がいた。或る日、田舎には珍しい美青年がやって来て、娘をほしいという。断ったが夕刻になると訪れる。不審に思った長者が氏神の新屋明神に祈った。翌夕、明神のお告げに従って青年に笄を渡し、鶏が鳴かない内にこれで溝を掘れという。青年は難なく掘って最後の一掘り直前に、新屋明神のご加護により鶏が鳴いた。青年は大蛇で、逃げた後に石が残った。
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ヒヒ 1976年 新潟県 延宝か天和のはじめ、ある山家の老人が山から帰ってこなかったので、その妻がいぶかしがり、人に頼んで山を捜索してもらった。すると山奥に老人の笠とわらじが落ちていたので、それを怪しみ、村で山狩りをした。ところがなにもなかったので下山しようとすると、風が藪を吹くような音がしたので振り返ったところ、赤熊を被って目が星のように光る獣が襲ってきた。大力の若者が鎌で眉間に切りかかったが、若者を谷へ投げ落とした。残った者は逃げ帰り、越後公へ訴えた。そこで江戸より軍師を呼び、山狩りを行わせた。獣が現われたので、それを鉄砲で仕留めた。
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ヤマンバ 1932年 愛知県 文明年間のある8月の夜、郷士が犬を連れ狩りに出た。犬が騒ぐので弓を用意しながら尾張富士の頂上の本宮の社へ出た。そこには身の丈1丈あろうと思われる大女が拝殿に向かって立っていた。矢で射ると地が揺らぎ、不気味な風が吹き、血の跡を残し女の姿はなくなった。その跡を追うと知り合いの家へ続いていた。何か変わった事はないかと問うと、妻が今暁から病気であるという。寝床を確認すると姿は無く、和歌が書き付けられていた。
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コギツネトショウベエ 1956年 宮城県 昔、あるところに正兵衛という鉄砲ぶち(打ち)がいて、つる橋の上でつるにからまって動けなくなっている小狐を助けた。正兵衛が家に帰って菜っぱ汁をたいていると、鍋がさっぱり煮立たないので開けてみると小判がいっぱい入っていた。そこへ来て、わけを正兵衛から聞いた慾兵衛は、「その狐、腹の中いっぱい小判だべ」と出かけ、小狐を打ち、腹を割くと小判がいっぱい出てきた。しかし家に帰って見るとそれはすべて馬の糞だった。正兵衛は、今回の件で殺生は悪いことだと後悔して百姓となったが、その田も畠も上作で、だんだん金持ちになった。一方慾兵衛はその後猟もなくなって貧乏になり、夜逃げしたという。
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サンチュウノキ 1976年 群馬県 ある、殺生好きな侍が、草履取りと共に山に小屋を掛けて狩に入ったが、獲物が獲れそうになかったので下山しようとしたところ、山の奥からざわざわと音がして、大きな火の玉が小屋に向かってきた。侍が弓で射ると、鉄球にあたったような音がして火は消えた。その後、家まで帰ると侍の母親が怪我をしたという。母の部屋に行くと、侍が射った矢が落ちていたので、草履取りと共に押さえつけた。暫くはうめき声が聞こえたが、やがて静かになったので、見てみると、夜着以外何もなかった。家人も消えていた。
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ヤマンバ 1995年 愛知県 楽田の本宮山で福富信蔵という男が狩をしていたら、光るものが見えた。山姥の目の玉が光っていたのだった。鉄砲で撃つと血を流して逃げていった。血の跡を追うと大きな釜屋に入ったので、変わったことはないかと訊くと、家内が具合が悪くて寝ているという。その家内が山姥であった。山姥は逃げて、岐阜のおがせの池に入ってしまった。その池では魚を取ってはいけない。話者が20歳くらいのころ、その池の魚を食べて赤痢で死んだものがいたという。
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ロウバニバケタオオガマ 1956年 宮城県 昔,名木沢の谷川の土橋の辺に一軒のあばら屋があった。夜になると行灯のもとで一人の老婆が糸を紡いでおり,魔性のものに違いないという評判であった。鉄砲の名人紋兵衛が,ある夜銃を携えて様子を見に行った。土橋の辺まで行ったが,振り向いてニタッと笑った老婆の顔が物凄い。紋兵衛は老婆の胸元目掛けて銃を撃ち放したが,行灯の光が消えただけで何の手応えもなく,真っ暗になったので逃げ帰ってきた。翌晩も行ってみると,やはり同じように老婆が糸を紡いでいた。故老に相談したところ,それは魔性のものに違いなく,行灯の灯を狙えば射止めることができると教えてくれた。そこで三日目の夜,老婆が振り向いた瞬間に行灯の光を狙って撃つと,ギャッという異様な叫びとガラガラという音がして辺りが真っ暗闇になった。翌朝行ってみると,それは三尺余の醜い大蝦蟇であった。
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フルダヌキ,キレイノムスメ 1964年 山梨県 狩人が魔の山というはじめての山へ狩に行った。見たことのない足跡を追っているうちに日が暮れ困っていると、「ほーい」という人の声がするので行ってみれば、頭にローソクを立ててタホを織っている娘がいた。気味が悪くなって鉄砲で撃つが、娘は弾丸を手でつかんで捨てる。最後に一発残しておいた玉で頭のローソクを狙い撃つと、急に夜が明けて、岩の上を見ると十貫目はある古狸が死んでいた。
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キツネ 1956年 宮城県 文化年間(1804~1818)のある秋の日,只野真葛の義弟沢口覚左衛門が雉打ちをするため犬を連れて山に入った。夕方近く犬が忍び鳴きを始めたので,新しい獲物を見つけたのだと思って銃を構え,見張っていると林から女が出てきた。女人の行き来する所でもないのにとあやしみながらうかがっていると,笹原を分け歩く足音も聞こえず,裾も動かず,すべるように近付いてくる。変化のものだと思いつつ,一応声を掛けてみたが蛙のような変な声で答えるだけであった。ふと7,8間ばかり傍の方を見ると,笹薮の中にちらりと狐の貌が見えたので,銃で撃つとギャッという叫びと共に女の姿も狐も消えてしまった。犬をかけようとしたが術をかけられたように眠りこけていた。起こして放してやったところ犬が異様な声でほえるので,駆けつけてみると犬より大きい牝の古狐が斃れていた。この辺には悪い狐が棲んで里人をたぶらかしていたが,その後は怪異も起こらなくなった。
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