タヌキ 2002年 香川県 昔、花折の岸に女性がべったりと座り込んで白足袋を履いた足を出していた。通りかかった人が「帰らないのですか」と二度尋ねても返事がないのでハマ下駄で足を踏むと、キャッと声を上げて消えてしまった。これは狸だという。
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ヤマオンナ,キツネ,ヨウジガサラワレタハナシ 1956年 宮城県 昭和10年(1935)頃、ある中年の婦人が3つになる女児を連れて仲間と一緒に薪を伐り出しに出かけ、仕事をする間、女児を傍らの草むらに寝かせておいた。しばらくすると女児の姿が見当たらない。山中を探しても見つからず、翌朝、前日よりもさらに大掛かりな捜索を行なうと、二タ山越えた隣り部落の山の中腹の岩の上に、木の葉を敷いた上にポカンと腰を下ろしていたのが発見された。女児に尋ねると「アァチャン(母ちゃん)といっしょに寝た」とこたえた。村人は山女か狐の仕業だと語り合った。
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ヤマノモノ 1983年 岩手県 大勢子供がいる家族の娘が、桑刈りの合間に行方不明になった。それから何年もした風雨の激しい日に娘は帰ってきた。何年も山で暮らし、髪も顔も山の者になっていた。家族は味噌汁など作って歓待したが、娘は「辛くて食べられない」と泣きながら山へと帰って行き、山で山の者として暮らした。
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キツネ,(ツキモノ) 1989年 長野県 昔、まだ雪が残っているときに老婆が行方不明になり、探したところ山の岩陰にいたがキツネが乗り移っていて追いつけなかったが、やっと捕まえて帰った。この老婆は座敷に寝ていても、外から自分の家に向かってくる人の名前を言い、またそれが当たっていたという。
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カミカクシ 1960年 岩手県 ある女性がヤマセへ行ったきり帰らず、モノシリに頼んでみても「やがて帰る」としか言わなかった。数年後、馬をたずねる者が彼女を見つけ連れ帰った。着物などは失踪時そのままで少しも傷んでいなかったが、女性は1年ほどして死んでしまった。
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ヤマノカミサマ 1928年 鹿児島県 勝浦というところで、美しい娘が行方不明になった。娘の着ていたものはみつかったが、その姿を見つけることはできなかった。3年後、父親が山の中で娘とであった。そのとき娘は「山の神様と結婚して幸せに暮らしています。それで永久に村へ帰ることはできません」と言い、走り去ったといわれている。
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テング 1922年 岩手県 寛政の頃、源氏の末裔で由緒ある家柄の女が失踪した。足腰も立たぬ大病であったのが、裏口から草履を履いて出て行ったのである。女の年齢は33、4歳の厄年前後乃至40年増盛りであった。天狗に連れ去られたとも言われる。
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オウムイシ 1975年 愛知県 三河国馬伏村の山間で、農家の女が草を摘んでおり、連れに「もう帰ろう」と言ったところ、石面からも同じく「帰ろう」という返事が聞こえたので、大いに驚き逃げ帰った。
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ガラッパ 1959年 鹿児島県 昭和初期のこと、ミヤマという山へ木を拾いに行った5・6人の子供たち(10歳程度)の内、1人の女児が夕方になっても帰らなかった。大人たちはこれはガラッパの仕業であるとして、山を「町(チョウ)が動いたぞ」といいながら捜索した。結局山中で少女は見つかったが、全身スダの葉まみれになり、口には馬糞をくわえて気絶していた。問いただすと、可愛い子供たちと遊び、団子を食べていたという。
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ヤマオトコ,オンナ 1931年 岩手県 紫波郡と岩手郡の間にある南照山連五の山奥に家があり、里まで遠いので近親婚が多かった。ある年、そこの家の娘が出産した後に姿を消してしまった。家の縁側に山男の草鞋が置いてあった。あるとき、里の青年が山奥のマダ林で失踪した女と出会い、自分は実家に戻ることはできなくなったから、達者で暮らすように家族に伝えてくれと言われた。その後、女もマダ林も見かけることはなかったという。
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オンナ,タヌキ 1929年 長崎県 老人が隣村からの帰りに、前からやってくる女と会った。知り合いの女だったので声をかけたが、女は笑うだけだった。狸だと気づいた老人は、女の行く手を阻んだ。キャンといって飛び上がると、女の姿は消えていた。後日、老人がまたこの道を通って目的地に行こうとした。全く着かないのでおかしいと思っていると、正反対の方向に進んでいて、山の頂上に座っていた。
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ウマ 1967年 福島県 昔、ある武士が娘と一緒に住んでいた。武士がある日狩りに出かけて何日たっても帰ってこなかった。娘は自分の家の馬に、父を探してきてくれたら嫁になってやると言ったところ、馬はどこかに走って行き、夕方になって武士を背に乗せて帰ってきた。それから馬は変ないななき声をたてるので、娘に聞くと娘は今までのことを話した。父親は怒って娘を島流しにした。それを知った馬は彼女のあとを追って行方不明になったが、やがてすごすご帰ってきた。それが駒帰り、今は駒ヶ嶺となった。
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キツネ 1933年 広島県 昔、八という車曳きがいた。仕事を終わらせて金を調べるために柴の葉が二枚入っていた。ある日、八が30前後の年増の女を乗せ、藪のところで降ろしたら、女の姿がすぐに消えてしまった。不思議に思って調べてみると、取ったばかりの柴の葉が入っていた。
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オオカミ 1956年 福島県 ある精神が不安定だった娘が、5月5日の柏餅を持っていなくなった。寺の坊主に占ってもらうと西と出た。西の山を探したが見あたらず、50日ほど経った7月15日に村の獣医が偶然、沢の穴で見つけた。着物に苔が生えていた。狼が憑いていたのが呑まず食わずだったので、ひもじくなって出て行ったんだろうと言われた。
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オンナ 1921年 岩手県 美しい娘が桑の葉を摘みに裏山へ行ったまま、行方不明になった。旅の行者は、娘は水性の主に嫁ぐ運命で、閉伊川の岸にある腹帯の淵の主の許へ行き、女王になり、1年に1回は会いに来るだろうと言っていた。この家は、大天馬という氏神を祀る祠がある。九月の祭日の前夜には必ずこの娘が戻ってくるという。
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カミガクシ 1964年 福島県 夜、裏の洗い場に行った娘がふと姿を消した。生死のほどもわからない完全な失跡であった。何年もたって完全に忘れ去られたころ、村のある人がある所で成人したその女に会ったという。何か話ししたとかどうとか、けっして今の私に会ったことを語ってくれるなといったとかいわないとか。
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テング,カミカクシ,アカイカオシタハナノタカイショ 1982年 新潟県 ある夕方に、9つくらいの村の子どもがお宮の木の下に下駄を脱いだままどこかへいってしまった。村の衆は神かくしだといって、マスの底を棒でたたいてその子の名をよんで探しまわった。2、3日して昼ころに泣きながら帰ってきた。どこへいったと聞くと、赤い顔した鼻の高いしょ(人)に連れられて山道を行くうちに分からなくなり、目をさますと、山奥の、朴の葉っぱをしいたとこで、それから、やっと帰ってきたといった。
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タヌキ,ワカイオトコ 1978年 和歌山県 昔、娘が紙を梳いていると、若い男が呼ぶのでそこへついていった。帰りが遅いので村人が探しに行くと、娘は木の株のところでぼけっと座っていた。狸が若い男に化けて娘を騙したのだろうといわれた。
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キツネ 1978年 山梨県 夜の11時頃に松林を通ったら、手拭をかぶった若いおばさんがついて来た。一緒に行こうと声をかけても返事がない。近くの家に入ったら女は見えなくなり、駐在所のところで消えてしまった。狐の仕業。
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ダイジャ,コジョロウ 1978年 和歌山県 昔、髪の長い15、6歳の美人の娘がいた。夜にいつも出て行くので、両親が心配してついていくと、柳の大木がある小池に草履が脱いであった。娘の姿を見せてくれと頼むと、娘をとぐろに巻きこんだ蛇が出てきた。
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