カゼノサブロウ 1977年 青森県 秋の日露戦争慰霊祭の日の風の強い夕方、原集落で7,8歳の男の子がいなくなった。翌日、夏坂の山でキノコ狩りの人たちがその子が大きな切り株に座っているのを見つけた。風の三郎にさらわれたのだということになった。
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ヤマオンナ,キツネ,ヨウジガサラワレタハナシ 1956年 宮城県 昭和10年(1935)頃、ある中年の婦人が3つになる女児を連れて仲間と一緒に薪を伐り出しに出かけ、仕事をする間、女児を傍らの草むらに寝かせておいた。しばらくすると女児の姿が見当たらない。山中を探しても見つからず、翌朝、前日よりもさらに大掛かりな捜索を行なうと、二タ山越えた隣り部落の山の中腹の岩の上に、木の葉を敷いた上にポカンと腰を下ろしていたのが発見された。女児に尋ねると「アァチャン(母ちゃん)といっしょに寝た」とこたえた。村人は山女か狐の仕業だと語り合った。
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ガラッパ 1959年 鹿児島県 昭和初期のこと、ミヤマという山へ木を拾いに行った5・6人の子供たち(10歳程度)の内、1人の女児が夕方になっても帰らなかった。大人たちはこれはガラッパの仕業であるとして、山を「町(チョウ)が動いたぞ」といいながら捜索した。結局山中で少女は見つかったが、全身スダの葉まみれになり、口には馬糞をくわえて気絶していた。問いただすと、可愛い子供たちと遊び、団子を食べていたという。
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ザシキワラシ 1956年 宮城県 明治の末頃,元南方の原の旧家佐々木林之助方には昔からザシキワラシがいると言われていた。当時この家で屋根の葺替えが終わった日の夕方,12,3歳くらいの少女が一人,軒に架渡した屋根修理用の足代板の上を走り回っていた。手伝いに来ていた村人が大勢これを見たという。この家ではザシキワラシは常にデイ(奥座敷)にいると信じ,床の間に茶碗に水を入れて供えておく。時々座敷を掃く音などがしても家人は怖がらずそっとしておく。これは同家主人の直話であったが,その後部落の人々の話では今は出ないのではないかということであった。
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キツネ 1974年 栃木県 1910年ごろのこと。話者の母が実家からサツマイモを担いで帰る途中、道が幾つも分かれている場所に出た。どちらに行ったものか考えていたら、手拭を被ったいい娘が歩いてゆくのでついて行くと、森の中に入っていってしまった。「助けてくれー」と声がしたので振り返ると、実家の方角に戻っていた。子どもが疱瘡で熱を出していたので、狐が化かした。
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オトコノコ,タヌキ 1982年 広島県 明治40年頃のこと。雨の日に大浦から宮盛へ帰るとき、鬼谷の方を通ると10歳くらいの縦縞の着物を着て豆絞りの頬被りをした男の子が「おーい、おーい」といいながらやって来た。近付くと生臭かったので怪しんで清水まで行き振り返ると後を追ってきていた。里に出るともう追ってはこなかった。
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ザシキワラシ 2001年 青森県 集落の西端にある西越公民館の場所にもとあった小学校には、昭和十年ごろにザシキワラシが出た。校舎内の更衣室で生徒が小さな子供を見つけたが、捕まえようとすると消えてしまった。
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ロウジン 1922年 三重県 ある時少年が行方知れずになり、3日ぐらいしてから呆然と畦道に佇んでいるのを発見された。顔面蒼白で非常に疲労していた。大熱に浮かされて5日ばかり寝こみ、ようやく回復して少年が言うには、夕方老人が現れ、あちこち連れて行かれ、帰ってくる時に今までのことを言ってはならないといって消えたという。それ以来少年は痩せ青ざめ、神経質になり、小学校の算術が出来なくなったと言う。
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キツネ 1987年 長野県 昔,長門町(現長和市)と丸子町の境,鳥羽山に尻尾の先が白い狐が棲んでおり,よく人を化かした。あるとき,仙石原の方から子供達が大勢やってくると,犬たちが揃って吠え始めた。するとその中の一人が今やってきた道をまっしぐらに駆け出し,四つんばいになって山の中へ走りこんでいった。村人が一晩中探したがその子は見つからず,翌朝,村から10数メートルも離れた隣村の山中で発見された。子供は疲れていたが元気で,着物には白と茶色の狐の毛がびっしりつき,地面には生物の血が転々と落ちていた。狐の毛も沢山散っていた。以後件の狐を見たものはいない。
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テング 1922年 岩手県 炭焼きをしていた子供が、大檜のところで白髪の老人に連れ去られ、岩屋に住むようになった。食べたことも無いようなおいしいものが出てきたりしたが、両親が祈願をこめた八幡神社のお告げには天狗も逆らえず、子供を返した。
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テング,オシヤゴジザマ 1931年 長野県 十歳頃の子が何処へ行ったのかわからない。村中で探したが見つからなかった。夜明け前探していた人たちが家に引き上げてくると、家の中の馬屋の中にいた。村の人たちはおしゃこじ様が隠したのだといった。天狗様のいたずらだともいった。
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テングサマ 1990年 長野県 家の近所で5・6歳の子供が居なくなって、「てんぐ様にさらわれた」といって村中で捜したことがあった。缶カラや鐘を叩いて捜したが見つからず、朝になると子供が1人で戻ってきたという。子供が言うには、林の中の馬頭観音様の所で寝ていたという。
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(カミカクシ) 1956年 東京都 ある家の子供が行方不明になった。三四郎ヶ洞の前の大樹の枝にその子の骨と皮がひっかかっていた。
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ワラス 1974年 岩手県 松川、岩ノ下のある家であったこと。一番奥の部屋で寝ていると、布団をゆすられたので目をあけてみると、そこにワラスが立っていた。河童みたいな顔で、だまって立っていた。二十年ほど前、おじさんが見た話である。
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オッサン,オジサン 1932年 石川県 明治初年頃、子供が夜中から居なくなった。7、8日目にその子供が猫岩という岩頭にボンヤリとたたずんでいた。おじさんが一緒に来い、いい所につれていってやると言われた、と言ったまま、子供は口をつぐんだという。
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イノスケ 1985年 新潟県 濁集落の老夫婦にイノスケという子どもがいた。10歳くらいのとき、父親が田から帰って足を洗っていて、煙草入れを忘れてきたことに気づきイノスケに取りにいくよう頼んだら、足を洗い終えると同時に帰ってきた。他にもイノスケが箪笥の錠の前で拍手を3つ打つと錠がピーンと開くのだった。親戚の会議でこんな不思議な子を生かしておくわけには行かないとなり、父親が山に連れ出すとイノスケは全て悟っていて、おとなしく鎌で殺された。父親も気が動転したのか、まもなく死んだという。
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ヤマウバ 1984年 愛知県 子ども好きの山姥がいて、よく百姓の子のお守りをしてくれた。しかし、ある日、畑仕事に連れてきた子どもが行方不明になり、数年後に白骨で発見されるという事件があったときにはその山姥の仕業だといわれた。
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キツネ 1973年 岩手県 1910年頃のこと。ある人が大原の市からの帰り、酒に酔って杉林に迷い込んだら、知らない人が服を焚き火にして暖まっていた。その後記憶がなくなり、夜明け方通りすがりの人に起こされて我に返った。肩には獣の足跡があったという。狐に化かされた。
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キツネツキ,キツネ 1976年 新潟県 1910年代のこと。13,14歳の子が狐憑きになった。飲まず食わずで狐の鳴きまねや跳びまねをした。ワカサマに見てもらったら、揚城の狐がついたと言われた。拝んでもらっても追い出せず、3,4ヶ月してその子は死んだ。
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ロウジン,タヌキ 1922年 三重県 ある時御師の家が取り壊しになり、門だけが残っていて、雨が降っているときにそこを少年が通ると門の中から老人が出て来た。老人にどことも知れず連れて行かれた。家では大騒ぎして探したが、3日後隣人が夜9時ごろ停車場で偶然見つけた。少年は大熱を出して寝こみ、老人に誰にも言うなと口止めされたと言う。永らく屋敷に住んでいた古狸が住処を失って、老人に化け、精神力の弱そうな少年を見込んで憑いたものであろうという。
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