カネ 1978年 香川県 三井寺の鐘を鋳ることになり、まず旦那はんのところへ寄付を求めに行った。ところが旦那はんは、何もないから何人もいる娘を差し出すと言って全く出資しなかった。なんとか鐘はできあがって撞き初めをしたところ、旦那はんの子が1人死んだ。次の日も撞くと1人死んだ。旦那はんはそのことで改心した。その鐘には子供の顔が座っているという。
類似事例 |
|
ウタレヌカネ 1932年 京都府 昔、成相寺で鐘を鋳ったが、何度作っても、赤ん坊の形をした穴が空いてしまう。寄付集めの折、餓鬼ならいくらでも上げるが金は1文もない、と断った百姓家があったとわかり、村の者はその赤ん坊をさらい、鋳型に流し込んだ。鐘は無事完成したが、撞くとオギャーと赤子の泣く声がし、両親が2匹の大蛇となって現れ、鐘に巻き付いて撞かせなかった。
類似事例 |
|
ナラズノカネ 1940年 香川県 非常を伝えるための村の鐘は、音色が非常に悪く、遠くにいるとまったく聞えない。そこで改鋳することになったが、ついうっかりと子供の人柱を立てて鋳直すことを提案した男がいた。「人柱は言い出しが立つ」というのが習しであったため、その男の子供が人柱として犠牲になった。この鐘の音を聞いた村の子供たちは一斉に泣き出したので、鐘は埋められてしまった。
類似事例 |
|
ヘビニョウボウ 1991年 滋賀県 三井寺の鐘のはじまりは、ヘビ女房の話で、盲目のヘビが暗くなったのを知らせて欲しいので、鐘を六回撞いてくれと言ったところからきている。
類似事例 |
|
ツカズノカネ,アカンボウ 1928年 京都府 鐘の吹上げができないので、村でただ一人寄進をしていない家に行った。その家の老人が、家で不必要なのは赤ん坊だけだと言ったので、連れてかえり吹上げの火の中に入れた。撞き始めの鐘を鳴らすと、赤ん坊の姿が浮かび上がり、村中の赤ん坊が泣き出した。
類似事例 |
|
チンショウ,アマゴイ 1974年 滋賀県 俵藤太郎が竜宮からもらい三井寺に献上した赤銅の撞鐘は、三井寺炎上のとき山法師が叡山でついても一向に鳴らず、大きい撞木でつくと鯨のほえるような音で「三井寺へゆこう」と鳴った。法師らが怒って山上から転がし、微塵に砕けた破片を集めて三井寺へ送ったところ、あらわれた小蛇が尾で破片をたたいて一夜のうちにもとどおりの鐘にした。
類似事例 |
|
カネ 1979年 滋賀県 文保2年、三井寺炎上の時に鐘を山門に移して朝夕撞いていたが、少しも鳴らなかった。2,30人で割れてしまえと撞いたところ、鯨の吼えるような声がして三井寺へ行くと叫んだ。
類似事例 |
|
ヒル 1933年 神奈川県 つくと長者になるという無剣山の鐘があった。鐘をつくものに対して住職は、握飯を池に入れ飯粒が蛭になる様を見せ、死後あのようなものに苦しめられても良いのならと言う。文右衛門はその様が恐ろしくてつけなかったが、その後長者になった。けれども年老いると飯が蛭に見えて食えず、餓死した。
類似事例 |
|
カネ 1975年 滋賀県 近江国文保2年三井寺回禄の時、鐘を叡山が奪った。しかし撞いても鳴らず、強いてこれを撞けば、三井寺に帰りたいと言うように鳴った。衆徒は怒って鐘を無動寺の上から落として捨てた。すると毎夜小蛇が現れ尾で割れ目を叩いた。すると割れ目は元に戻った。
類似事例 |
|
カネ,エンノギョウジャ 1928年 静岡県 長福寺の門前に貧しい山伏がいた。大峰修行の際、ある老僧から援助を受けていたが、その老僧が入滅後に後を継いだ住職は、金銀を惜しみ、撞鐘で役立つならもっていけといった。その晩、山伏の枕もとに白髪の老人が現れ、峰入は心配するなといって消えた。次の日、鐘がなくなっていた。住職が山伏と一緒に大峰に行く途中の夜、山鳴りがして大岩の上に鐘が引っかかったという話を聞いて見に行くと、寺の鐘であった。老人は役行者の化身であった。
類似事例 |
|
ユウレイボンショウ 1956年 宮城県 称名寺に,幽霊寄進の梵鐘がある。延宝・天和の頃,同地の高橋某という侍が隣村佐倉村に情婦を囲い,本妻に辛く当たった。しかし離縁の口実がなく,遂に情婦と計ってこれを謀殺してしまった。本妻は,本宅に納まった情婦に恨みを晴らすため夜毎戸口まで迷ってくるが,そこに貼ってあった神符のために入ることができない。そこで妻の亡霊は親戚に頼み,小判数枚を与えて神符を剥がしてもらった。間もなく情婦は本妻にとり殺されてしまった。親戚某は亡霊から梵鐘を鋳て菩提寺に寄進するようにとも頼まれていたので,夫を訪ねて青銅に亡霊からの小判を合金し,梵鐘を造らせて称名寺に寄進した。この梵鐘は現存し鐘銘には右の由来が彫られている。年代は元禄六(1693)年林鐘初八日,施主は高橋八郎兵衛平常,住持可伝上人,冶工早山五郎次清次。
類似事例 |
|
オンナノカオガアラワレルカネ 1916年 島根県 鐘を撞くと女の顔が現れるので撞かない鐘がある。昔、鐘を鋳る時、龍頭が上手くつかなかった。そこでかねてから女性の血をあてがえば必ず成就すると言われていることを思い出し、名主の娘を誘い殺してその肉を入れたら成功した。しかし鐘を撞くと娘の顔が現れるため、今日まで撞かないという。
類似事例 |
|
ヒル,ムケンノカネ 1933年 神奈川県 無剣山という寺の鐘をつくと百万長者になれるということを聞き、文右衛門は寺を訪ねた。住職は、握飯を池に入れ、飯粒一つ一つが蛭になる様を見せながら、死後蛭に苦しめられてもかまわないならいい、と鐘をつかせた。文右衛門は長者になって大往生したが、出棺の時には棺が軽く、門の前に片腕が落ちていた。
類似事例 |
|
ドウゾウ 1976年 何の像かもわからない、銅像があった。時々うなり声を上げるので、家の者は驚いた。銅印を作るために譲ったところ、鋳直される内に少なくなってしまった。家の者はそれを聞いて気の毒に思い、全員が病気になった。
類似事例 |
|
カネ 1941年 朝鮮 関西八景の一つの平壌練光亭の隣に一鐘閣がある。閣内には大鐘がある。昔ある時代の王が鐘を造るために銅鉄を集めさせた。家来たちはある村の一軒を訪問した。女主人は鉄は無いが子どもは出せと言えば出すと言う。家来はそこを去って他で量を満たし鐘を鋳造した。しかし何度鋳てもひびが入る。そこで色々調べると女主人の詞がわかったので、子どもを連れてこさせて鉄とともに溶かして鋳型に流した。すると良い音のなる鐘ができたが、「エンマヘルレ」と鳴り、それは「母の舌のために禍が生じたので母を恨む」という意味だった。
類似事例 |
|
ムゲンノカネ 1981年 和歌山県 無間の鐘はシチサコの土と水でつくり、中にエビス・ダイコクを入れて焼く。そのときに大きな音がしたら願いが叶い金持ちになるが、なにか対価を払わねばならない。ある人は正月に餅をつかないことを条件にし、ある人は死後狼に死体を食わせることを条件にして金持ちになった。
類似事例 |
|
ジョチュウ,フグノコ 1982年 宮崎県 ある長者が田植えの用に、大事な器を女中に洗わせたら、川に流してしまい、主人に叱られた女中は松に首をつって死んだ。以後田植えになると女中が御器を数える声がし、その家に続いて不具の子が産まれた。
類似事例 |
|
ニイヤミョウジン,ダイジャ 1935年 群馬県 昔、利根郡にある山麓の長者に、三人の美形の娘がいた。或る日、田舎には珍しい美青年がやって来て、娘をほしいという。断ったが夕刻になると訪れる。不審に思った長者が氏神の新屋明神に祈った。翌夕、明神のお告げに従って青年に笄を渡し、鶏が鳴かない内にこれで溝を掘れという。青年は難なく掘って最後の一掘り直前に、新屋明神のご加護により鶏が鳴いた。青年は大蛇で、逃げた後に石が残った。
類似事例 |
|
ヒョットコ 1965年 岩手県 柴刈りに行った爺が見つけた穴の中に翁がおり、爺に醜い顔の童を与えた。その童の臍からは金の小粒が出て、家は栄えた。しかし、金を多く出そうと爺の妻が童の臍を強く突くと童は死んだ。悲しむ爺の夢枕に童が現れ、童の顔に似た面を作りカマドに飾れば繁栄すると言ったという。
類似事例 |
|
ウジガミ 1931年 愛知県 子供が出来ない大身の家の夫婦が氏神に祈り、男の子を授かった。この夜六部が、夢で、子供は水難で死ぬと氏神が話しているのを耳にした。その子が一人歩きするようになったある日、落ちた瓦があたって死んだ。瓦には三つ巴があった。
類似事例 |
|