シカノコ,イズミシキブ 1931年 佐賀県 昔、子供のいない老夫婦が村の観音堂に祈ると、福泉寺の和尚に子をもらえというお告げがあった。お寺に泊ると、夜更けに赤子の声がしたかと思うと、雌鹿が赤子に乳を飲ませていた。老夫婦がこの子を連れて返って育てたところ美人に育ったが、足の指が2つに別れていて、人間のものとは違っていた。その子が和泉式部で、足の指を隠すために和泉式部はいつも足袋を履いていたといわれている。
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オカマジゾウ 2001年 愛知県 弘仁の頃に丹羽郡小折村に若夫婦があった。一子を預け給えと信願すると、男の子を授かり、常丸と名付けた。妻はある日帰らぬ人となり、夫は再婚したが、継母は常丸を虐待した。夫が行商に出かけた折に継母は常丸を煮殺そうとする。夫は胸騒ぎがして引き返し、子供から一部始終を聞く。地蔵様が湯から引き上げてくれたという。これを聞いた継母は改心し、釜と地蔵を貰い受けて尼となった。これより名付けてお釜地蔵という。
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ハクジャ 1988年 奈良県 ある女房が亭主に、帰ったら必ず外から声を掛けるよう頼んでいた。亭主が黙って家に入ると、女房はトグロをまいた大きな白蛇になっていた。正体を見られた女房は自分の目玉を舐めるようにと子どもに与えて池に消えた。やがて目玉がなくなると現れてもう一つも与えたが、盲目になって昼夜の区別がつかないので、朝夕鐘を鳴らしてほしいと頼んだ。そのために建てた寺が龍泉寺。
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シカノコ,イズミシキブ 1931年 佐賀県 和泉式部は杵島郡の和泉村にある福泉禅寺の後ろの山で産まれ、鹿の子だという話が残されている。
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カッパ,ガタロ 1950年 三重県 三重県・永泉寺の和尚が愛馬を番太淵のそばに繋いでおいたところ、大声で嘶いて寺門に駆け込んできた。見ると左足に河太郎がつかまっている。捕えて馬盥に伏せ、3日間訓戒を与え解放した。2日後、夢に老婆の姿で現れ、今後、村人を守護すると誓って消えたという。
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ネコ 1975年 静岡県 遠江国蓁原郡御前崎の西林院の僧が猫を助けた所、その猫が寺にいついた。ある時寺男が縁側で昼寝をしていて、猫も隣で庭を眺めていたところ、隣の家の猫がやってきて寺の猫を伊勢参りに誘った。しかし寺の猫は、住職に危険が迫っているからと断った。夢現で聞いていた寺男は不思議に思ったが、その夜、天井裏で大きな音がした。4、5日前から逗留している旅僧の雲水はその音にも起きてこなかった。翌朝天井裏を見ると、寺の猫と隣家の猫が血を流し倒れており、その傍らで雲水の服を着た大きな鼠が瀕死の状態でいた。
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ヒシヌマノオウジョウジ 1956年 宮城県 慾深い男が小牛田の牛飼長者の話を聞き、旅僧が来たら泊めて牛になってもらい長者になろうと思っていた。そこへ旅僧が托鉢に来たので、無理矢理泊め、毎日部屋を覗いて牛になるのを待つ。ある朝、家中大声をあげて泣くのを聞きつけた僧が行ってみると件の男が牛になっていた。旅僧は法然上人の高弟金光上人だった。京に帰ってこの話をすると、「近くにいって説教してやれば真人間に戻るが、年老いて陸奥へ下るのも覚束ないから、わしの木像を刻むのでその前で代わりに説教するように」と命ぜられる。金光上人が木像を負ってもどり師の言うとおりにすると、額の角がもげて真人間に戻った。男は金光上人の弟子となり、屋敷を施入して往生寺という。
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トリノハカ,ネコ,ユメノツゲ 1956年 宮城県 寛文年間(1661~1673),宗禅時住職が次のような夢を見た。「自分は檀家の某家で飼われていた鶏である。某家の飼っている古猫が一族を毒殺しようとしていたので,私は毎夜鳴いて警告したが,主人は夜鳴きをする鶏は縁起が悪いといって私を殺して川に捨ててしまった。私は今六郷堰の杭の間を漂っている。主人にこのことを知らせてほしい。」住職が翌朝六郷堰に行ってみると,確かに杭の間に鶏の亡骸が浮いている。住職は急いで某家を訪れ,夢の告げを話した。その時大きな黒猫が駆け込んできて汁鍋の上を飛び越えていったが,その拍子に尻尾の先を鍋の中に漬けていった。これに気付いた和尚が家人に猫のあとをつけさせると,猫は竹薮の中で竹の切り株に尻尾を漬けていた。切り株の中ではトカゲ・ムカデ・ハンミョウ・毒蛾などが腐っていた。毒汁を溜めた場所は,一説では愛宕神社下の断崖の中腹,古杉の根元の洞の中だとも言う。主人は鶏に恩を仇で返してしまった事を悔い,供養碑を建てた。
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シロイヌ 1975年 大阪府 和泉国堺の浄土宗の寺に白犬がいた。勤行の時には堂の縁に来て平伏し、修行者が道を歩いていると裾にまとわり付き吠えていた。ある師走に餅を搗き、白犬に与えたら、のどに詰めて死んでしまった。和尚は哀れに思い戒名を授け弔った。すると住僧の夢に犬が現れ、念仏の功徳で人間になれた。門番の妻に宿ると述べた。門番の妻は間もなく懐妊し男児を生んだ。男児は聡明であったが、餅を嫌ったので、犬の生まれ変わりだと、人々は白犬とあだ名した。男児があだなの由来を僧に聞いたので、僧は経緯を話し、餅を食べたら呼ばれなくなるだろうと言った。男児は、餅を食べようとした日に行方不明になった。
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ヤマンバ 1995年 愛知県 楽田の本宮山で福富信蔵という男が狩をしていたら、光るものが見えた。山姥の目の玉が光っていたのだった。鉄砲で撃つと血を流して逃げていった。血の跡を追うと大きな釜屋に入ったので、変わったことはないかと訊くと、家内が具合が悪くて寝ているという。その家内が山姥であった。山姥は逃げて、岐阜のおがせの池に入ってしまった。その池では魚を取ってはいけない。話者が20歳くらいのころ、その池の魚を食べて赤痢で死んだものがいたという。
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シンボ,ウシ 1928年 中国 邪険な神母が外に牛がいたので中に入れようとした。牛は抵抗して入らず寺に走っていった。牛を追ってきた神母に驚いた衆僧が経を読むと、神母は牛を捨てて逃げ戻ったが、病気になって死んだ。のち、娘の夢に出て、般若経を奉納して弔ってくれと頼んだ。
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カニ,ダイジャ 1990年 石川県 旱魃の際、田に水を入れてきれたモノに娘をやると言った。すると一人の若者がきて、一夜のうちに水を入れた。若者は輪島川の淵に住む大蛇で、娘を連れて行こうとした。娘の家を7巻巻いて戸口から入ろうとしたが、中に大きな蟹がいて、蛇を九つにはさみ切った。その骸が落ちたところは池になった。頭が落ちたところは親池と呼ばれ、笠原の家に祟りをなした。これを聞いた泰澄大師が法力をで退散させた。
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ヘビノタタリ 1971年 福島県 石川郡畑田の浅川というところで、亭主が肺病になって縞蛇の生血を飲んだ。すると肺病は治ったが、できた子どもは蛇の子であった。それをみた嫁様はたまげて死んでしまった。蛇の崇の話である。
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イヌ 1975年 東京都 寛永15年の事。江戸糀町の常泉寺で他所から来た犬が3匹の子を産んだ。しかし母犬はその内の1匹の面倒をみなかった。ある時住持の夢に母犬が現れ、我は前世遊女であり、ある男との間に2人の子を産んだ。先妻の継子も1人いたが、運悪く自分も3人の子も死んだ。しかし思いもよらず自分も犬に産まれ、3人とも自分の子犬に産まれ変わった。継子の父は未だ存命で、きっとここに来て子犬を乞い求めると告げた。やがて男が来て、母犬が面倒を見なかった子犬を求めたので、住持はその子犬を男に与えた。
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イノシシ 1928年 愛知県 豊田という家に子供のときから世話になっている女がいた。同じ郡内の島原某という狩人の女房になった。ある時、狩った猪の臓腑を抜こうとして山刀を突き通すと猪は一声「痛や」と叫んだが、気にとめずに料理してしまった。そのとき女は臨月であった。その後、女は子供を産み落としたが、その子は胸から腹にかけて腹を裂いた猪と同様に一太刀割られた姿であったという。女はその後離婚して旧家へ戻り、奉公していたと言われている。
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オニ,ユウレイ 1979年 岐阜県 昔一人の僧が美濃の国、今須の村にさしかかり、一夜の宿を乞うたが、どこの家でも断られた。仕方なく村のはずれの、墓場の六体地蔵の影で一夜を過ごすことにした。夜になると鬼が5、6匹出てきて、妙という老婆の幽霊をいじめるのを目撃した。僧はどこかの家で成仏できない人がいるのではと考え、一軒一軒尋ねると庄屋の母親であることが分かった。その老婆は生前欲深く村人に恨まれていたため、成仏できないのだろうということになり、僧は供養の為にお寺を建てさせた。その後鬼や老婆の幽霊は出なくなったという。
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キツネ 1985年 山梨県 深田の清泉寺のあたりに悪いキツネがおり、とおるひとは必ず騙された。ある気の強いおじさんが絶対にキツネに騙されないといって、腰に鎌をつけて真っ暗な中をいった。そうしたら、赤ちゃんをおぶった女の人が来たので、鎌で赤ちゃんの首を落とした。しかし、お母さんが泣いて訴え、仕方がないのでお寺へ行って髪の毛を切って謝ることにした。村の人がいっぱい集まったがそのときにはもう化かされていて、髪の毛を切った途端に誰もいなくなって、自分の横には首ではなく大根がきれて転がっていた。
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トリ,ネコ,(オンガエシ),(ユメノツゲ) 1956年 宮城県 元禄(1688~1704)末頃,伊達宗重の家臣坂本宇兵衛は子供がなく,飼猫と鶏を可愛がっていた。ある秋の夜更けに鶏がトキを作ったので,主人は不吉だといって鶏を殺し近くの川に捨ててしまった。同夜,この鶏が坂本家菩提寺の住職の夢枕に立ち,「自分は坂本家の飼鶏であるが,同家の猫は毒を以って主人に害をなそうとしている。夜中に鳴いて知らせようとしたのだが,主人は私を殺してしまった。和尚様から委細を話していただきたい。」と言う。住職が翌朝早く坂本家を訪ねると,丁度主人が汁椀を手にとろうとしていた。その時,同家の猫が外から飛び込んできて,椀の中に何か落としたまま走り去っていった。主人が気にも留めず椀に口をつけようとしたので,和尚は慌ててこれを止め,夢の知らせを語って聞かせた。椀の中を見ると黒じみた油と毒蜥蜴の頭が入っていたので,驚いた主人は猫を斬り捨てようとしたが,猫はそれきり現れなかった。宇兵衛は鶏に対して自らの不明を恥じ,懇ろに鶏を供養した。
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ウシ,ユメ 1974年 京都府 京かわら町の牛屋にて、ある時牛が主人の夢に現われ、明後日に死ぬので死後ある寺に葬って欲しい、私はその寺の3代前の住職である、と語った。同じ夢を牛屋の妻と寺の住職もみていた。
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(レイム) 1967年 福島県 屈め地蔵は至徳年中、ある農夫が、翌日牛に乗った禅師が来るので、その禅師に開眼を頼め、と地蔵が告げる夢を見た。翌日、夢の通り禅師が牛に乗ってきたので開眼を頼んだ。
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