バケモノ,モンスケババア 1996年 岩手県 おとめ沢に昔化物がいて、夜な夜な人を捕らえる。おとめという女もその化物にとらわれ姿を消し、おとめ山に留まって門助というものの妻となったが、故郷が忘れがたく、暴風雨の暗夜に常に里にあらわれた。以来、暴風雨の夜は「門助ばばあ来る」とおそれた。
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イトマキ,ヤマンバ 1929年 岩手県 松月の妻が糸を紡ぐとき、いつも手伝いに来る女があった。ある日その女が自分は山姥であるが他言せぬようにと告げ、糸巻きをくれた。いくら使っても糸がつきないので不思議に思って夫に告げてしまった。その夜妻はさらわれて、鍋倉山の穴の前に屍となって横たわっていた。村人たちが穴の中へ矢を射ると大きな音がして山姥は消え失せ、骨だけが残っていた。
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ビジョノヤシキ 1956年 宮城県 仙台藩士日向某が泉田出雲を尋ねると,同家の土塀の出格子から,内側の庭園に美女がいるのを見た。主人に庭にいる美女は誰かと尋ねると,「あなたも見たか。春の長閑な日は路地の向うの畑に佇んでいる事もあり,暮れ方には白装束に散らし髪で茶の間の前の釣瓶井戸で水を汲み上げている時もある。前代の本田伊賀,つまり源之助の父が住んでいた時からそういう変異があったと語り継がれてきた」と話した。雨の降る淋しい夜などに腰の曲がった老婆が破れた鉦鼓を首に掛けて軒下を徘徊する事もあったという。但し家や人に害をなしたり凶事が起こることはなかった。
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エンマドウヨコチョウノカイ 1956年 宮城県 明治の中頃,附近一帯の道路工事に伴って泥沼を埋め立てた。工事完成の数日後,夕方そこを歩いたら髪を振り乱した白い葬衣の女が現れて,何か訴えたげにしていたのを見た者が出た。昔塩竃明神の火災の時,この池にお釜が飛んできて埋まった。明神を信仰していた門前町の妓楼の遊女も焼け死んで,その魂がお釜に縋ってここに埋まったので,今回現れた女はその幽霊だということであった。一方,その幽霊は塩竃の遊女ではなく,近くの弓ノ町が遊女町であった頃無残な死に方をした女があり,その墓石が道路工事で古池の傍らに埋められてしまったために怨んで現れたという噂もあった。円福時近くに住む丹野某と言う請負師がこれを聞いて古池近くを掘らせるとそれらしい墓石が出土,これを厚く弔うとその後幽霊は現れなかったと言う話も行われている。
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イジュウ 1977年 静岡県 正徳4年夏、豆州豊川村である人の妻が毎夜何者かに襲われるようになり、ついに殺され顔の皮を剥がれた。15日後何かが家に入ってきたので斬りかかったが逃げ去った。血の跡を辿ると栗山村の奥山の穴に続いていた。鉄砲で撃ち、出てきたところを槍で仕留めた。形は熊のようで人面だった。足と爪は鷲のようで、頭毛は赤、身毛は黄だった。
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〔ジョウゲンチュウ〕,オキクムシ 1974年 滋賀県 近江国志賀郡別保の里に常元やしきと俗称される家があり、ここに居る者は必ず禍があるという。その故を尋ねると、蒲生家の侍だった南蛇井源太左衛門なる無頼が諸国で悪行を重ね、生まれ故郷の別保に帰って剃髪して常元と称した。慶長5年に以前の罪で捕縛された常元は、その家の柿の木に縛られて最後には斬られた、しかしその骸を木の根本に埋めたところ、数日後、顔や目口鼻がある人を縛っている姿に似た妖しい虫が、毎年多く墳上に現れて、蝶に化けて消えたという。人々はこれを常元虫といった。
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カモコノスイジンノタタリ 1984年 新潟県 昔、加茂村に武右衛門という者がおり、物好きで新奇なことを好んで、新田作りなどをした。ある年のことムラの者と連れ立ち、相川からの帰り道すがら長江川の近くまで来ると、釜屋村に住むという見なれぬ女と道連れとなる。武右衛門はやがてその女に手を引かれて水の上を浮かれたような調子で歩き続けてやがて見えなくなる。翌朝、湖水をくまなくさがしてみると、死体が現れてきたので、村人たちは加茂湖の水神の祟りであろうとおそれおののいた。
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(トブナマクビ) 1939年 新潟県 昔、ある城主が城を築く大工を募集した時、妻の勧めで怠け者の大工が応募した。大工は妻の知恵で試験に合格し、城を作ることになったが、大黒柱を切り違えた。これも妻の知恵で乗り切ったが、大工はその秘密を知る妻を口封じのため殺した。妻の首は北へ向かって飛び去り、早晩立ち返って城を崩し、雷のように叫んで影を失ったという。この祟りを恐れて、弓矢を北方へ向けて供えるという。
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カミカクシ 1915年 岩手県 農家の娘が、物に取り隠されて見えなくなった。死んだものとあきらめていると、ある日田の掛け稲の陰にこの女が立っているのを見た者がいた。そのときにはすでに気が荒くなっており、たちまち去ってしまい、ついに帰ってこなかったという。
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オニ 1991年 宮崎県 角がある異形の鬼八の首を、ある親子が跳ねて土に埋め、鬼八の美しい妻を連れ帰った。鬼八の首は地中で生き続けて祟り、妻を奪われたことを嘆いた。里人が一年に一人ずつ女を鬼八に差し出すと収まり、やがて鬼八の力も弱まっていった。
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エノキ,キノマクラ 1976年 埼玉県 武州比企郡鎌形村の農万右衛門の家で、享保末頃のある夏の日の午後、木の枕のようなものが突然家の中に転げ込んできたのを下女が怖がり、庭の榎木の空洞の中に入ってしまった。人々が空洞の中を探しても何も見つからなかったが、後にこの木を伐り倒そうとすると、木から血が流れて止まらなかったので中止したという。
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ナマクビ,オニ 1937年 京都府 1人の武士が歩いていると、棒に女の生首が刺さっていた。一目散に逃げると灯のともった家があったので止めてくれるように頼むと、その家の男に爛々たる目で睨まれたので、また逃げ出した。村人とともに戻ってみると、悪者に殺された女の首だった。そこを生首谷と言うようになった。また、昔、鬼が人間の生首を引き抜いて捨てた所ともいう。
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カシワ 1984年 山梨県 中道町の滝戸山の仏沢のカシワの巣という洞穴には、カシワという怪物がいて、きれいな娘の姿に化けて葬式の死体をとって食べた。ビイゲ院の住職のもとにカシワが来て、明日の葬式の仏をくれという。住職が断ると力ずくで持って行くと言い、立ち去った。翌日葬式をしていたら、カシワが死体を抱えて宙に逃げたので、住職が印を結んだらカシワは山に落ちた。それからカシワはいなくなったという。
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オンナ 1921年 岩手県 上閉伊郡上郷村に住んでいた美しい娘が急病で死んだ。その3年後、六角牛山という深山に狩りに行くと、女がいて、死んだようにみせかけられ、人ではない夫に連れてこられたのだという。狩人はこの話を他の人にすると、女の命も自分の命もなくなると言われた。
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ナキタマ,ユウコン,ボウコン 1974年 高知県 土佐の国で、流罪になった人のところへ毎夜、都で死んだ妻が現われるようになった。その妻を網で捕らえたところ毛の抜けた古狸になったので殺した。貞観年中のこと。
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アマゴイ,ツリガネ,ウミボウズ 1935年 香川県 ある運送屋の夫婦が釣鐘を運んで阿波の国に向かう途中、釣鐘がいつの間にか消え、驚いた夫は水死し、妻は後を追った。それ以来、沖では、鐘の音が聞こえたり、鐘を撞く海坊主が見られた。風説が広がり、恐れられたので、船頭達は鳴神を祀って神社を建てた。怪異はなくなり、この神社は雨乞いの験があるという。
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ジヌシノナイトチ 1956年 宮城県 所有者が必ず死ぬと言う奇怪な土地がある。これは,昔旅に行き暮れた六部を泊め,その所持金に目がくらんでこれを殺害して屋敷の一隅に埋めてしまったためで,六部の怨霊がいつまでもその地の所有者に祟って夭折させたり作物を不毛にしたりしたのだと言う。その後六部の墓を建てて弔ったが,今日でもはっきりした所有者はなく荒れるに負かされている。
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オスガサマ 1970年 福島県 昔、上方から青森あたりまで将軍が征伐した。その妻が夫を追いかけてきたが病床に伏してしまい、三代の今のお菅さまのところで死んだ。夫が帰路その側を通ると、女は高井原山の霧となって正体を顕した。夫は哀れに思い、祀っていった。女は「お杉」といったが、変化して「お菅さま」となった。
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オンナ 1934年 女がどこから来たのかわからない話は、村々字々で異なった部分を持っており、皿屋敷に似た話もあり、皿を壊した女を主人が怒って斬ろうとすると、女は海へ入ってしまったという。
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カミカクシ 1930年 和歌山県 ある人の妻は明治30年8月11日の未明に家を出たまま帰らず、村人が探したが見つからなかった。23日に草部屋で見つかり、話を聞くと何とも知れぬ者に北海道まで連れていかれたという。
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