キツネ 1976年 山形県 ある山伏が道で眠っている狐を法螺貝で驚かせると、狐は逃げていった。しばらく進むと、ざらぶ(葬列)が見え、怖くなった山伏は杉の木に登った。ざらぶは杉の木の下で止まり、棺を根元に下ろして去った。棺から音がしたと思うと、中から白衣の死人が出てきた。山伏は逃げようとしたが、枝が折れて落ちた。意識を取り戻すと、杉の木も棺もなかった。
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キツネ 1989年 長野県 ある人が飯田の方へ行ったとき、昼寝していた狐に石を投げたら当たった。狐は痛そうな泣き声を上げて山の方へ逃げた。帰路、狐の寝ていたところに来るとにわかに薄暗くなり、日が暮れた。困ったと思っていると、向こうから弔い行列が来る。怖くなって道端の木に登ると、木の回りを回って、根元に棺を置いて火を焚いて帰っていった。棺が焼け落ちると中から死人が出てきて、木を上ってきた。その人がてっぺんまで上ると枝が折れて落ちた。悲鳴を上げると、辺りは元通り明るく、その人は土手の下に落ちていた。
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キツネ,シニン 1939年 長崎県 ある山伏が宿を借りた家で死人の番を頼まれていると、棺の蓋が開いて中から手が出てきた。山伏が驚いてのけぞると川に落ち、自分が法螺貝で驚かせた狐に仕返しされたのだと気付いた。
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キツネ 1999年 宮崎県 ある秋の日、永友法印という修験が、昼寝をしていた狐を法螺貝で脅した。そのまま行くと突然日が暮れる。おかしいと思って松の木に腰を下ろすと、葬列がやってきた。法印は松の木に登ってやりすごそうとしたが、葬列は松の根元に棺を埋めた。すると埋めたばかりの棺から幽霊が出てきて、法印のほうに登ってくる。つかまれそうになり、もはやこれまでと高い松の木から飛び降りると、1mくらいしかなく、いまだ真昼であった。けっして生き物をいじめてはいけない、と法印は話した。
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キツネ 1954年 神奈川県 大下の爺様が釣りに行き、山道で昼寝する狐の頭の先をとんとんと叩いて通った。するとあたりが真っ暗になり、近くの家の宿を借りたが、ずっと先に行って寝てくれ言われたので先へ行くと、本宿の池に落ちたという。また、昼寝する狐を嚇して畑を打っていると、遠くから葬式が来て棺をおいていった。木に登って見ていると、棺から化け物が出て来たという。
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タヌキ 1929年 長崎県 山伏が昼寝をする狸を、ほら貝を吹いて驚かせた。狸が逃げて間もなくすると急に日が暮れ、葬式行列が棺をもって山伏に迫ってきた。彼が木の上に避難すると、その木の根に棺が埋められ何者かが這い出してきた。それが這い上がってくるのでほら貝を吹き鳴らすと人々が集まってきた。昼日中狸に化かされたのである。
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キツネ 1989年 長野県 山伏が、池の畔で昼寝していたきつねを池に蹴落とした。山伏が帰ると、突然辺りが暗くなって葬式行列が後からついてきた。山伏が桜の木に登ると、行列は棺をその桜の根元に埋めて帰った。夜更けに墓から死人が出てきて山伏に迫ったので、山伏は木から飛び降りて死んでしまった。
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キツネ 1985年 新潟県 室野集落の山伏が蒲生集落に行くとき、飯塚というところを通ったら狐が道の真ん中で寝ていたので法螺貝で脅した。するとすぐに日が暮れて、仕方なく蒲生で宿を借り寝ていたら「ほぉいぃんさまぁどこ行ったぁ」という声が近づいてきて、恐ろしいので二階に逃げ、屋根の煙出しから飛び出したら、下に落っこちた。気がつくとまだ日は高く、狐に化かされていた。
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ノギツネ 1967年 山形県 三蔵院の法印さまが山道の途中で野狐の耳に法螺貝を当てて吹き、驚かせた。道を行くと急に暗くなり、一軒の家に泊めてもらったが、その家のお産寸前のかがが死んでしまった。法印がうろたえていると死んだかがが起きあがって鉄漿(お歯黒)を付け始め、その顔を法印にべたーっと付けた。法印は目を回し、目覚めるとまだ昼日中であった。
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ヤマンバ 1936年 牛方が塩鯖を運んでいるときに山姥に襲われ、鯖も牛も食われてしまう。牛方は木に登って隠れていたが、その姿が沼に映っていた。その姿めがけ、山姥は沼夜涛に飛び込んだので、牛方はその間に逃げて、一軒家に隠れた。そこは山姥の家で、牛方は山姥の餅や甘酒を飲んでしまったが、山姥はそれを火の神の仕業と思い、唐櫃の中で寝た。山姥は牛飼いが錐で蓋に穴をあける音を聞いて「明日は天気だけで、きりきり虫が鳴かあや」といいながら殺された。
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キツネ 1984年 山梨県 ホウゲン(法印)さんが原っぱにいた狐を法螺貝を吹いて追い払ったら、急に空が暗くなり葬式がやってきた。木に登って隠れたらその下に埋めていった。木から降りたら死人が出てきた。狐の仕業。
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キツネ 1998年 福島県 爺さまが狐を馬鹿にして火を焚いていぶした。そうしたら、その後、婆さまが帰ってこないことがあった。心配していたら、ボロボロになって帰ってきた。氏神様の石の上に泊まってきたという。狐が仕返しをしたのである。
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キツネ,コリ 1962年 大阪府 餌が少なくなる冬場、野施行といい赤飯を狐狸にまく習慣があった。ある日山番が家に帰ると娘が出てくるのが見えた。帰って誰だと妻に尋ねると野施行の赤飯をあなたが集めて帰ったためにそれを買いに来た娘で、銅銭十銭を上り框に置いていったと言う。しかし、硬貨は全て柿のへたであった。立腹し狐狸の穴を探し回ったところ、夜明け近くになって四條畷近くの田圃に座らされていることに気がついた。食糧を取られた狐が復讐しにきたのであった。
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タヌキ 1992年 奈良県 山で炭焼きをしていたお爺さんの所に、毎晩狸がお婆さんに化けて訪ねてきた。そこである日お爺さんはお婆さんに絶対訪ねて来ないようにと言い、その夜に訪ねてきたお婆さんを刃物で殴った。お婆さんは声を出して逃げたので、本物のお婆さんは殴ってしまったのかと驚いて家に帰ると、家にはちゃんとお婆さんがいた。そして軒下で古狸が死んでいた。
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キツネ 1974年 東京都 午八月二十七日早朝、ある男が道で寝ていた4匹の白狐を驚かし、狐は逃げていった。すると雨が降り出したのでいつも休む家へ行くと、女房の棺桶を主人が担い出すところであり、留守を頼まれた。家の中にいるとその女房の霊が出てきて、男の腕に食らいついた。近くの百姓が、その男が川の堤を上り下りしており、血だらけであるのを見た。狐に化かされていると思い、水をかけると、男は正気に戻った。そして小豆飯に油あげをそえて狐に謝りに行った。実際には雨は降っていなかったが、腕の傷は本物で、その後も痛みに難儀した。
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タヌキ 1932年 高知県 炭焼をしていた話者が夜竃をしていた所、自分の娘が呼びに来た。怪しんで火縄銃を差し付けたら、逃げて行った。また別の日、隣の男が来て「お前の女房が病気だから帰ってくれ」という。怪しんだ紺蔵が男を竃の前で待たせて観察していると、男は居眠りを始め、耳も口もすっかり狸の相を現してしまった。そこで燃える炭を叩き付けると狸は逃げ、翌朝、焼け爛れた大狸が谷川に浮いていた。
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タヌキ,ハッチョウノダダボウ 1990年 福島県 八町の宮にダダ坊という化け物がいて子供を食うので、盲目の中井坊に退治を頼んだ。中井坊はすり鉢をかぶり山鍬と才槌を持ってお宮に行き、化け物に殴りっこをしようと持ちかけてすり鉢を殴らせ、自分は鍬と槌で叩いた。化け物は血を流して逃げていった。翌朝村人と一緒に追うと、お宮の欅の洞穴に何十年も経った毛の薄くなった大きな古狸がいたので、殺して狸汁にした。化け物も出なくなった。
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キツネ 1933年 長野県 道の横に古狐がいた。殺すつもりで石を投げつけると、真っ暗闇になってしまった。どうしても家に帰れなくなり、枯草を焚いたらいくらかは明るくなったので、どうにか帰ることができた。
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タヌキ 1986年 埼玉県 名栗村の炭焼きのじい様が夜に寝酒を飲んでいると、墨染めの衣を着た坊さんが尋ねてきたので、ご馳走した。それが何回か続くようになったのでじい様は怪しみ、焼き団子を進ぜようと言って火箸でいろりの灰の中から石をつまみ出し、坊さんの衣にくるんだ。すると坊さんは「あっちっち」と言って外へ飛び出して行った。次の日、山道に古狸がやけどをして死んでいた。
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バケネコ 1984年 山梨県 左甚五郎が山崎新田を通ったとき、苦しんでいる女がいたので背負ってやったら、それは石地蔵だった。人家にたどり着いたら、その家の婆が亡くなっていて、爺が寺に知らせに行く間留守番をした。火を絶やすなと言われたが、うっかり眠って火を絶やしたら、死んだお婆さんが立って出て行こうとしていた。甚五郎とお婆さんが揉み合いになったところへお爺さんが帰ってきて、屋根に石を投げたらお婆さんは倒れた。火を絶やしたので古寺の猫が来て、屋根の上を歩いて死体を動かしたのだという。
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