ジゾウ,ヒノタマ 2001年 奈良県 ある日、藤助という人が犬を連れて山に猟に入っていた。暗くなって、火の玉のような光が2つ見えた。目の玉みたいな光っているとこを打ったが、鉄砲から火が出て、小屋のところまで来て倒れた。そこへ藤助地蔵が建てたられた。昭和44年、藤助の家を子孫が建て直したとき、藁屋根の土の中から真っ黒けになった火縄銃が見つかった。
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ヤマノジサン 1986年 愛媛県 夜専門の猟師が火にあたっていると猟犬が身体を水にぬらして何度も薪を消してしまう。猟師は怒って犬を殺す。すると突然髭をボウボウに生やしたおじいさんがあらわれて、火にあたり出した。猟師はお爺さんが怖くてたまらずにいたが、じいさんが眠り始めたので一生のうちに1、2度しか使えない八幡大菩薩に関係のある玉で鉄砲を打った。じいさんは谷底へころげ落ち、誰かがすがりついて泣いているのがわかった。猟師は逃げ出し、1年ほど経った後その場所へ行ってみると白骨になっていた。これが山のじいさんではないかという。
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オイヌサマ 1932年 愛知県 村に迎えた御犬様が落とし穴に落ちた。村の男が、藤蔓で作ったもっこで助けようとしたところ、鋭い牙で蔓を噛み切った。恐ろしくなった村人は、梯子をかけてそのまま立ち去った。御犬様は抜け出して助かったが、後日再び穴に落ちて、鉄砲で射殺された。
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オシドリ,フジン 2002年 栃木県 犬伏町下の谷に鴛鴦塚がある。太田二郎左エ門尉式宣という弓術の達人が、鳥獣を射ていた。ある日三毳山で狩をしていたが終日獲物がなく、帰ろうとしている時に阿曽沼の東岸で鴛鴦を見つけて射て持ち帰った。その夜熟睡していると忽然として戸外に声がして、妙齢の婦人が歌を詠み、号泣した。3、4回それが続いたので一喝し戸を開けると一羽の鳥が飛び去った。不審に重い夜が明けてから鴛を射たところに行ってみると、鴛が菰の茎を咥えて死んでいた。式宣は悔悟して、自ら塚を築いて鴛を併せて埋葬し、入道した。
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カイチョウ,テング 1920年 兵庫県 鉄砲名人の藤太郎は、領主に賜った金銀の弾丸で怪鳥をうった後、謎の病にかかり有馬温泉へ入湯した。隣の部屋の足の悪い客人と四方山話の最中、藤太郎が鳥のことを話すと、客人は怪鳥へ変わった後大天狗になって睨みつけた。数日を経ず藤太郎は死んでしまった。
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キツネ 1922年 茨城県 治郎兵衛という農夫が山林中で死んだ雉子を見つけ、持ち帰った。夜になって治郎兵衛の家の周りを1匹の狐が鳴きながら何回となく回った。「そんなに欲しくば返してやる」と、治郎兵衛が戸を開けると狐はすでに絶命していた。それから間もなく治郎兵衛の家の前の石橋が破裂し、家は全焼し、治郎兵衛一家は離散した。雉の持ち主は狐で、眷属の大宴会に雉を出す予定だったが、治郎兵衛に取られ、多くの賓客に合わせる顔がなく、帰ることも出来ず治郎兵衛の家の周りを泣き明かしつつ死んだという。
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イヌ,リュウグウ,ネインヤ 1934年 鹿児島県 男が売れなかった花を海に投げ込むと、ネインヤの者に感謝され、犬をもらった。その犬を、もてなすと猪を獲ってきた。男の兄がそれを羨んで犬を借りたが、言うことを聞かないので殺してしまった。弟が犬の死骸を埋めると、そこから竹が出て天の米蔵を突き破り金持ちになったが、兄は同じことをして天の糞袋を破り、糞に潰されて死んでしまった。
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バケネコ 1956年 宮城県 明治初年頃,山地の部落の老マタギ源左衛門が翌日の猟の準備をしている時,トラ猫が炉辺でその様子を見ていた。翌日猟に出かけ,夜が迫ってきたので急ぎ足で下りてくると,見慣れない一軒家にたどり着いた。離れた所から窺っていると,老婆が恐ろしい顔でこちらを見た。化生の物と思って銃で撃つと,手応えがあったのに老婆は平気な様子であった。源左衛門が弾丸を全て撃ち込んでしまうと,老婆が「もう弾丸はあるまい」と言う。源爺は腹掛けに秘蔵していた命弾をそっと取り出し,今度は行燈目掛けて撃ち込んだ。すると悲鳴が上がって灯も小屋も一瞬に消えてしまった。源左衛門が翌朝未明に現場に行ってみると,骸は人間の老婆の姿をしている。しかし,やがて朝日と共に大猫が正体を現した。よく見ると我家の古猫らしい。果たしてトラ猫は昨夕から見えないということであった。
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ヤマイヌ 1989年 長野県 ある猟師が山の神に山犬の子が欲しいと願ったところ、二匹授けてくれた。ある時、猟に行くと何も取れなかったので、火を焚いていた。猟師は「俺は夕食食べて寝るが、何も取れなかったので我慢してくれ」と言うと、山犬が尻尾に水を付けて火を消すということを繰り返した。おかしいと思って木に登って見ていると、被せてあった蓑にかみついたので、殺すつもりだと悟って撃ち殺した。すると先祖に祟ったので供養した。憑き物があるときに、入れ物のほこりを払うと、憑き物が落ちるという。
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サンチュウノキ 1976年 群馬県 ある、殺生好きな侍が、草履取りと共に山に小屋を掛けて狩に入ったが、獲物が獲れそうになかったので下山しようとしたところ、山の奥からざわざわと音がして、大きな火の玉が小屋に向かってきた。侍が弓で射ると、鉄球にあたったような音がして火は消えた。その後、家まで帰ると侍の母親が怪我をしたという。母の部屋に行くと、侍が射った矢が落ちていたので、草履取りと共に押さえつけた。暫くはうめき声が聞こえたが、やがて静かになったので、見てみると、夜着以外何もなかった。家人も消えていた。
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ヤマイヌ 1989年 長野県 ある猟師が山の神に山犬の子が欲しいと願ったところ、子を二匹授けてくれた。ある時、猟に行くと何も取れなかったので、火を焚いていた。猟師は「俺は夕食食べて寝るが、何も取れなかったので我慢してくれ」と言うと、山犬が尻尾に水を付けて火を消すということを繰り返した。おかしいと思って木に登って見ていると、被せてあった蓑にかみついたので、殺すつもりだと悟って撃ち殺した。
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ヤマイヌ 1943年 長野県 山犬を拾って育てていたが、猟に出た夜にその山犬食われそうになり射殺して難を逃れた。その後3年、村では悪い病と凶事が続いたので、犬の祟りということになり、祖先が頭蓋を拾ってきて犬山之神として祀る事にした。
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キツネ 1988年 奈良県 惣五郎と言う人が三反御作(3反歩ある大きな田)を植えた帰り、溺死した子狐を見つけ葬った。その夜戸を叩く者がおり、「お田引いた惣五郎さん、三反御作みな引いた」と5,6人の声がした。翌朝見ると植えた苗はみな引き抜かれ、狐の屍骸が掘り起されていた。親狐が思い違いをしていると思い、狐のいそうなところを釈明して歩いたら、その夜に伊勢音頭の音がして「お田引いてすまなんだ、三反御作また植えた」と声がした。翌朝、家の前には大きな鏡餅が置いてあり、田はもとどおり植えてあった。
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オオヒヒ 1923年 徳島県 猟夫が大狒に食い殺された。その愛犬は家にかえってその変を告げたので、猟夫の弟が犬とともに狒々を捜して射殺したが、愛犬もまた倒れた。猟夫と犬の墓がのこっている。
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オンナ 1976年 京都府 鉄砲の名手が山に猪を撃ちに入ったところ、とても美しい女に出会った。場所柄怪しいとは思ったがついて行くと、小倉明神という社を巡った。猟師も一緒に巡ったら、女が睨みつけてきた。その眼は5つになっていた。驚いて逃げ帰り、その後は猟師を止め、農業につとめた。しかし罪のためか、ほどなく足腰が立たなくなり、子供も2人あったのだが、1人は早世し、もう1人は白癩(シロコ)であった。
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ヤマイヌ 1985年 愛媛県 畑左衛門が深夜犬寄峠にさしかかったとき、一匹の山犬を殺したらその悲鳴で山犬が集まってきた。左衛門は松の木に登ったが、山犬も登ってきた。そこで鶏の目抜きのある刀に祈ったら、刀が鶏の声を発し、山犬は朝になったと思って逃げた。
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ヤマイヌ 1959年 長野県 犬と共に猟をしていると、夜中になって犬が大きな声で鳴く。うるさいので斬ってしまうと、その頭が猟師の頭上にいたうわばみに食いついて、猟師を救ってくれた。猟師は感謝して、石碑を建ててその首を祀った。
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キンノカンノンサマ,スズ 1979年 徳島県 五郎兵衛という人が、犬を連れて猪狩りに出かけた。すると、犬が岩の中をのぞいて一生懸命に吠えた。不思議に思って岩屋に入ってみると、後光がさしていて、金の観音様があった。一方で鈴が鳴った。そこへ観音様をお祀りし、鈴の音が聞こえたので「鈴ヶ峰」という。
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タヌキ 1932年 高知県 炭焼をしていた話者が夜竃をしていた所、自分の娘が呼びに来た。怪しんで火縄銃を差し付けたら、逃げて行った。また別の日、隣の男が来て「お前の女房が病気だから帰ってくれ」という。怪しんだ紺蔵が男を竃の前で待たせて観察していると、男は居眠りを始め、耳も口もすっかり狸の相を現してしまった。そこで燃える炭を叩き付けると狸は逃げ、翌朝、焼け爛れた大狸が谷川に浮いていた。
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ヤマイヌ 1928年 愛知県 狩人が鹿を撃つために山小屋で一夜を明かしたが、退屈なのでつれていた犬をからかって、ウーウーと山犬の鳴き声を真似していた。すると、遠くの山からその声を聞きつけて本物の山犬が集まってきてしまった。どうしようもなく、榾火を大きく燃やして身構えたまま夜明けを待ったという。
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