サンノウサマノバチ 1978年 東京都 祖母が山王様の小祠の前で急に体調を崩し、やがて死んでしまった。死因を知ろうと孫がウカガイに祈祷してもらうと、祖母が知らずに山王様を蹴ってしまったからだという。そこで孫は山王様を祀り、小祠を設けて祖母の罪を詫びたという。
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(キンキ) 1973年 富山県 ころ伐ではやり歌を歌うと山神さまが聞きほれて山子の守りを忘れるので、怪我をする。
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テング 1952年 群馬県 力自慢の男が子供と角力をとった後、天狗にさらわれたが、マタリ神に助けられた。百年後、子孫の老人が病気でふせっていたとき、その子がブルブルと震え出し、何かを口走るという事があった。神様が憑いて、大切なものを粗末にし、神を忘れているから親父が病気になるのだと言ったという。
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ハクハツノロウジン,セイボ 2001年 鹿児島県 マンマ口説によると、3歳の時に生母を亡くした子が継母の虐めに遭い、実母を捜して旅に出る。しかし何れにも母の姿は無く、浜に下りて行くと白髪の老人が洞穴墓の中に母はいると言った。そこで訪ね共に帰ることを乞うと、母が語るには、自らの身体はすでに骨が石になり肉が土になっているので帰れない。そのかわり朝夕に仏壇にお茶を供えてくれ、そうすれば作物を守ってやると語った。
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ヤマンバ 1936年 福岡県 馬子が大根を運んでいると山姥に襲われ、大根と馬を食われてしまう。釜の山姥を焼き殺す場面では火打石の音を聞いた山姥は「雨の降る夜は虫が鳴く。かちかち鳴くのは何虫か、鳴けよ鳴けよ雨が降る」と歌う。最後に馬子が「馬食う、婆がどこにいる、寒けりゃもっと火をたこう、あつけりゃ火になれ骨になれ、幾らあっても足りないは、婆が命と野辺の花」と勝利の歌を歌う。
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ハチメンダイオウ,オニ,ヤマドリ,(ユメノオツゲ) 1990年 長野県 有明山のふもとに住む弥左衛門は息子の弥助が幼いうちに八面大王という鬼にさらわれた。立派に成長した弥助はあるとき大きな山鳥を助けた。それから3日して弥助は美しい娘を娶った。そのうちまた八面大王が暴れ始めた。坂上田村麻呂が観音堂で祈ったところ、特定の山鳥の尾を矢にするよう言われた。その話を聞いた弥助は悩んだが、嫁がそれを持ってきた。嫁は山鳥の化身であり、その後姿を消した。その矢で八面大王は退治された。
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ウタイガイコツ 2001年 青森県 一緒に出稼ぎに行った3人が落ち合った際、沢山稼いだ1人を他の2人が殺して、その金を自分達のものにした。数年後にその場所を通りかかったところ、松の上にあるコウベが綺麗な声で歌っていた。このコウベをくるんで歩き回り、歌を聞かせてお金を稼いでいたところ、殿様からお呼びがかかった。聞かせに向かったところ、コウベが、2人が過去に犯したことを殿様の前で話した為、2人は打ち首になってしまった。
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カイビョウコタババ 1987年 長野県 昔,ある六部が根津村の長命寺大日堂にお篭りしていると,子猫が沢山集まってきてうるさく鳴く。よく聞くと「国分寺の小太ばば来なけりゃ踊りにゃならん」といっており,大きい怪猫が嵐と共に入ってきて子猫達と共に踊り狂った。六部が仕込杖で怪猫を刺すと,血を滴らせて逃げていった。次の日,「小太ばば」が門前の小太郎の家の老婆であることを知り,訪ねてみると,老婆は昨日足を痛めて寝ているという。六部がお薬師様に祈願して法力を身につけ小太郎の家に乗り込むと,老婆は怪猫の本性を現して尾野山に逃げ込んだ。家を探すと,縁の下から老女の白骨が現れた。小太郎は薬師様に願をかけ,六部の助けで尾野山に飛びつけて怪猫を仕留めた。今も国分寺の裏に六部の石塔があり,小太郎屋敷という地名も残っている。
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ムジナ 1978年 石川県 長太という木挽きが山に行くと、ムジナが化けて出てきて「相撲をしよう」と持ちかけた。長太は粥を食べるふりをしてムジナをヨキで殴った。長太は浜へ逃げ出し、そこで嫁をもらい3年経つと、嫁が「夫のかたき」と言い出した。長太は「今殺したら子がお前を殺す、代わりにお前の夫を成仏できるようにしてやる」と言ったという。
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ビンボウノカミ 1940年 秋田県 いつも貧乏で困っていた大背病の飲み抜け親父は、ある神無月に貧乏神を追い出そうと歌の詠みあいをしたが、結局失敗してしまった。
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オチョケ 1982年 新潟県 母親が死んで百カンチが終わると、南蒲原郡下田村長沢のマンチ(巫女)へ、オチョケにいった。マンチは30歳ぐらいの、せいの高い盲目の女の人だった。白装束で、神壇にむかって、幣束をふって、お経を読んだり神様の名前を読んだりしているうちに体がブルブルと震え出してものをいい出した。これは明治の末ごろのことである。
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ネコタノコウシンヅカ 1956年 宮城県 郷士阿部某の娘が夕方向山の北裾の山路を通ると,突然身の丈6尺程の大猿が現れ,娘は失神してしまった。翌朝家人が失神している娘を見つけ,家に担ぎ込んだが,娘は日増しに痩せ衰えていく。ある日村の若い衆が見舞いにきて娘の額に手を当てようとしたところ,突然男の頭に柿の実が飛んできてぶつかった。見廻しても仲間しかおらず,翌日も同じ事が続いたので三日目には見張りをつけた。一人が娘の額に手を触れると,突然屋根裏から南瓜が投げ落とされる。上を見ると天窓から大猿が歯をむき出していたので,大勢で追いかけたところ向山のほうに逃げてしまった。その後も,見張っていないと大猿がやってくるので,刈田岳のマタギに頼んで大猿を撃ち殺してもらったが,同じ時刻に娘もあっとうめいて息を引き取ってしまった。その後村人は娘と猿の供養のために山の北麓に庚申塔を建ててやった。初め猿田の庚申塔といっていたが,現在では猫田の庚申塔といわれている。
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ネコ 1962年 島根県 山奥で一人の若者が相撲を取ろうとしつこく迫るので取ったところ強くてかなわず、百姓家に逃げ込んだ。主人は猫の仕業だと言った。帰途でいたやま追分節が聞こえ、若者そっくりな声の上、語尾があいまいで猫の歌の尻なし声だった。
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モシチ 1954年 長崎県 茂七という老人が茂七・おもんの夫婦養子を取った。ある日茂七老人が病気で死んだ。ところが養子の茂七が殺人の冤罪を受け死刑になった。その後暫く、モシチが憑いて村は大騒ぎだった。生前の茂七は酒飲みで、モシチが憑くと子供でも大酒を飲んだ。
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ダイジャ 1931年 長野県 長者の一人娘が大蛇と契り、それに怒って親は縁を切ろうとした。そこに貴公子が現れ、涙を拭おうとしたところ、娘は貴公子を刺した。貴公子は大蛇に変じ、娘をくわえて空をかけのぼった。そのとき嵐が起こり、村の建物は吹き飛ばされた。その跡地には玉石(蛇石)があり、女の泣声が聞こえるという。
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ケンムン 1969年 鹿児島県 ある男が12月頃の晩に潮干狩りに行く。木を枕に海岸で寝ていると、その木はケンムンの枕木だったのでケンムンの声がして来た。「今晩生まれる子が女の子であれば、他部落に嫁入りするように。その時大雨が降るが木の下に隠れるように。その時石垣もろとも木が倒れ娘は命を失う。運命だ。」男が家に帰ると女の子が生まれていた.。成長し嫁入りすることになったが予言どおり大雨になった。父はついていくといって聞かず、雨宿りさせなかったので無事に嫁入りは終わり、その子は百才まで生きた。それで田舎ではケンムンの死の予言を祓う。
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キツネ,ダイジャ 1954年 青森県 元吉という無口な男が、ある時坂の下で女のキツネに憑かれて、急に饒舌になった。家につくと腹が痛み出したので狐だと気が付き、折檻した。キツネはつる子と言って、善八という兄狐がいて、共に長兵衛という人の持っていた狐だった。長兵衛の家は放火されて焼けてしまった。元吉は、大蛇が川に入るのを見て、以来病気になり、亡くなってしまった。
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アカマタ,マッタブ 1973年 鹿児島県 三人の娘をもつシン長者が、山で薪を沢山取ったが重さで担げないでいると、アマタ(蛇の一種)が現れた。長者は薪を持ち上げられたら三人の娘の内から一人を選んであげると言ったら、蛇は薪を肩に上げた。言った以上は娘を差し出さないとならないと、娘に相談するが上の二人の娘は拒絶する。そこで一番下の15歳に娘が父のためだからと承知する。立派な婚姻であったため姉娘は妬ましくなり、末娘を溜め池の中に押し込んで殺して妹の代わりに妻として男の家へ向かった。死んだ妹は鳥となり夫婦の食事を邪魔したため、再び殺され豚小屋に棄てられた。するとそこから桑の木が生えてきたため焼くと、起火が飛び姉の目を焼いた。後日、目が見えなくなった姉がマキへ行くと石垣が崩れてきて死んだ。死んだ末妹は夫の夢に現れて、自分は溜め池の中にいる、この前焼いた桑の木の灰を死骸に振りかければ元通りになると言った。その通りにすると、末妹は蘇り夫婦として暮らした。
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ヤシャガイケ,ダイジャ 2002年 滋賀県,岐阜県,福井県 越前の北の方に伝わる話。美濃国安八太夫の娘お里が身につけていた針の鉄分のため大蛇は病気になったのでお里は実家へ返される。これを聞いた越前の長者は越前側に水を流してもらいたいため娘を後妻として夜叉ケ池に嫁入りさせた。これを知ったお里は怒って夜叉ケ池で大喧嘩が起こったが、長者は男を雇ってお里を弓で射殺してしまった。
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クルカニザーシ,ミミチリボージ 1929年 沖縄県 僧侶黒金座主は荒淫で幻術を悪用して罪深く、国頭(くんちゃん)の金武(きん)に追われた。彼は懲りずにここでも美しい娘をみつけると、彼女の弟から髪の毛をもらい振り向かす為に呪文をかけた。だが悧巧な娘なのでそれを見破り、母から聞いた呪文を防ぐ方法、籠の目を通して髪の毛を一本渡したので助かった。黒金座主はのち死刑にされ、その怨霊は耳切坊主となってさまよっているという。
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